小沢健二「春の空気に虹をかけ」全公演ライブレポート #ozkn

※2018年5月5日追記:5/2・3日本武道館公演(3日目・4日目=最終日)の内容を追記しました。5/2・3の話題はこの文字色で追記しております。
2018年4月30日追記:4/29大阪城ホール公演の内容を追記しました。4/29の話題はこの文字色で追記しております。初日限りの話題はこの色。

 小沢健二「春の空気に虹をかけ」の初日2日目2018年4月23日(月)東京国際フォーラム公演および2018年4月29日(日・祝)大阪城ホール公演および2018年5月2日(水)・5月3日(木・祝)日本武道館公演(要は全公演)のライブレポートです。
 (全公演が終わった今となってはあまり関係ないですが)本稿は途中までネタバレなしで、ネタバレ箇所の手前に注意書きを入れてます。ただ今回、公式がわりと開けっぴろげというか、出演者や曲目などがどんどんオープンになっているので、どこからどこまでがネタバレじゃないのか定義が難しいところ。いちおう本稿では「開演まで伏せられていたこと」(メンバー、曲目、演出等)はネタバレ扱い、としています。
 それと、初日は会場内(物販エリア含む)の撮影が一切禁止されていたので、個人的に買ってきたグッズ以外の写真はほとんどありません(2日目以降は撮影禁止の注意書きを見かけなかったですが撮影せず)。あとは現地に着いてからのお楽しみ、ということでご了承ください。

▲初日に現地で撮れたのはこういう味気ない写真だけなのです

▲大阪城ホールには約7,500人が集まっていたそうです(JR大阪城公園駅構内にて撮影)

▲日本武道館の入り口。通常はここに「東京スカパラダイスオーケストラ 『○○』(公演名)」みたいにライブのタイトルやロゴが入るのですが、今回、まさかの裂け目のみで文字なし。知らない人には何が何やら。こんなのアリなんだ……と呆気にとられながら撮りました

【1】公演概要

  • 公演名:小沢健二「春の空気に虹をかけ」
  • ときところ
    • 2018年4月23日(月)東京国際フォーラム ホールA
    • 2018年4月29日(日)大阪城ホール
    • 2018年5月2日(水)日本武道館
    • 2018年5月3日(木・祝)日本武道館

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【2】グッズ

 グッズは公式サイトに写真と小沢氏ご本人のコメント付きで掲載されているのでそちらが詳しいです。最新の在庫状況も反映されているようで、完売した品物・サイズには取り消し線が引かれてます。あと今回、クレジットカード(VISA/Master)が使えるのがけっこうありがたい。
https://hihumiyo.net/haru-sora-niji/
 
 グッズの種類が多いから購入額をシミュレーションしたいなー、と思ってGoogleスプレッドシートで非公式にこんなものを作りました。

 シートの中にも書いてますが、このシートを自分のGoogleドライブにコピーすると金額の計算ができます(要Googleアカウント)。購入した品物についてくるおまけの個数もわかるようにしました。よければご活用ください。
 ためしに全グッズを全種類購入するとなんぼかな? と試算した結果がこちら。おおー……。
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▲あとで詳しく触れますが、これはレコジャケ・ジャケットが定価だったころ(値下げ前)の合計額です
 
 今後の公演ではルール変更があるかもしれませんが、初日の場合、先行販売(チケット無くても可)の時間が15:00~17:30で、17:30時点で一旦物販が終了。(スタッフのアナウンスによれば)17:30になったら物販の列がそのまま入場待機列に切り替わり、18時から入場スタート。入場から開演の間や、終演後にも購入はできたようです。僕は16:45くらいに並びはじめて30分くらいで購入できました。グッズの種類が多いので1人あたりの購入に時間がかかりますが、窓口の数も多めなので、意外とスムーズに列が進みます。
 あと、初日の物販で早い時間に並んだ人には、リハーサルの音が聞こえていたそうです。会場のリハーサルが壁越しに聞こえていたのかな? と思いきや、「別の日のリハーサルの音源をわざとスピーカーから流している様子だった」との証言も複数の人から耳にしてます。ここで今回の曲目や演出などを先に知ってしまった(つまり公式サイドからネタバレをくらった)人もけっこういたそうで。今回、終演後の音声配信もそうですが、ネタバレ上等! な姿勢がなんとなく伺えます。
このリハーサル音漏れの件、大阪城ホールではとくに無かったようですが、「武道館では聞こえた」との話もちらほら。
 2日目(大阪城ホール)は13時から販売開始でしたが、早い人は9時ごろから並んでいるように見受けられました。(あくまで聞いた話ですが)13時時点で500人以上並んでいたそうです。ただ、列の進みはかなりスムーズで、15時ごろにはもう行列がなくなっていました。Tシャツのほとんどのサイズは早々に完売してしまったそうですが、大きいサイズのTシャツやそのほかのグッズの多くは後からでもすんなり買えたようです。
 また、初日の物販コーナーが東京国際フォーラムの会場内でデザイン的に凝りまくっていた(大量のカラフルなビニール傘を使ってデコレーション)のに対し、他の会場では屋外の一般的な物販テント(野外フェスなどでよくある形式)でした。
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【3】これから行く人へ8つのアドバイス

 ネタバレにならない範囲でアドバイスや気付いた点を挙げると以下のとおり。

1.ライブは正味2時間強

 初日の場合、開場が約15分押しの18時15分ごろ、開演が約20分押しの19時20分ごろで、終演が21時30分ごろでした。つまりライブ自体は2時間10分くらい
 2日目は、開場が時間通りの17時、開演が約15分押しの18時15分ごろで、終演が20時20分ごろでした。やっぱり2時間ちょっとですね。
 武道館では開場がいずれも時間どおり(5/2は18時、5/3は17時)で、開演はいずれも10~15分ほど押したくらいだったと思います。3日目はほぼ2時間ぴったりでしたが、最終日はいろいろあって(詳しくは後述)、終演が20時半ごろ。
 小沢健二氏のライブにしてはわりとタイトな尺でしょうか。たしか「東京の街が奏でる」とか、3時間近くあったはず。「お子さま連れ歓迎」と打ち出していたので、そういったかたがたの負担を意識されたのかも。実際、幼子を連れたかたが多くいらっしゃいましたし。
 ただ、これから曲目が追加されたり何かしらの仕掛けがあるかもしれないので、あくまで参考程度に留めていただければ幸いです。結局、最終日にダブルアンコールがあった以外は全公演通してまったく同じセットリストでした。細かい演出の違い等々はあったので、それについては後ほどの詳細レポートの部分をご参照ください。
 

2.おなじみの曲も最近の曲もしっかり聴き込んでおこう

 2016年の「魔法的」ツアーは誰も聴いたことのない新曲をバンバンやって「初めて聴く曲なのにめちゃくちゃ良い! すごい!」と圧倒されるライブでしたが、今回はその逆で「おなじみの曲がこんなに最高の演奏で聴けるなんて! 楽しい!」って趣向だと思います。なので、セットリストにある曲をおさらいしておいて、なんならもう全部合唱できるくらいの勢いで臨んでも楽しいんじゃないかと。実際、小沢氏が客席に合唱を呼びかける場面がいっぱいありました。シンガロング率高めなので、喉のコンディションも整えておいたほうが良いでしょう。
 

3.Apple Musicの『Tokyo, Music & Us 2017-2018』を観ておこう

小沢健二 & 満島ひかり

小沢健二 & 満島ひかり

  • Tokyo, Music & Us 2017-2018
  • ノンフィクション
 詳しい理由は述べませんが、第1回も第2回も観ておくと楽しめると思います。特に第1回。既に観ている人もおさらいしたほうがいいかも。
 

4.「空虹回路」は必携


 2016年「魔法的」ツアーや2017年のフジロックですっかりお馴染みになったグッズ、魔法的電子回路。今回は7色の「空虹回路」が販売されています。東京国際フォーラムくらいの規模で客席のみんなが電子回路を点けていると、ちょっと感動するくらい綺麗ですね。これが大阪城ホールや武道館の規模だったらもっと大変なことになるでしょう。ぜひみなさんに電子回路を身につけていただきたい。
 ただ、先述のように物販はけっこう時間がかかるので、電子回路だけを目当てに並ぶのはなかなかハードルが高いです。「魔法的」ツアーのときは客席内で電子回路を行商しているスタッフのかたがいましたが、今回の公演では全日通して見受けられず。しかも、最終日には早々に売り切れてしまったようです。1人で複数個購入している人も多かったですし、想定を大きく上回る売れゆきだったのでしょう。
 魔法的電子回路については、以前研究記事を書いたことがあるのでこちらもご参考にどうぞ。

5.(会場内で使えるなら)「春空シャボン玉ペンダント」も買っておきたい


 新グッズの「春空シャボン玉ペンダント」。4色あってどれも素敵なデザインです。目薬のボトルくらいの大きさで、蓋の部分にシャボン玉を吹くための輪っかがついてます。
 これでみんながライブ中にシャボン玉をたくさん飛ばしたら、さぞかし素敵なことでしょう――が、いずれの会場でもシャボン玉を吹くのは禁止でした。日比谷野外音楽堂(野音)とか野外フェスとか、野外の会場だったら全然大丈夫なんでしょうけどね。ちなみに僕が主催した非公式後夜祭イベント「春の余韻に砂をかけ」は、会場の渋谷スターラウンジさんの許可をいただいてシャボン玉を飛ばしまくりました。
 

6.前方の席じゃなくても、後方でもけっこう楽しめそう

 初日は幸運にも砂かぶり席のめちゃくちゃ前方の席で観られました。が、今回のような大箱の場合、後ろで観るのもそれはそれで良いのかな、って気もしてます。
 まず、聴覚的な面で、あまりにもステージに近すぎるとサウンドの全容がつかみとれないかな? っていうのがひとつ。実際、今回は一部の楽器の音があまり聞こえなかった気がします。
 それと視覚的にも、ステージ自体は前方のほうがよく見えますが、会場全体を見渡すなら後方のほうが良いですよね。先述のようにみんなが電子回路を点けた客席の光景がめちゃくちゃ素敵ですし、もし他の会場でシャボン玉も吹けるのならもう最高なはずです。
 もっと言うと、そもそも小沢健二氏の曲を好きな人って「周りにほとんど同好の士がいない、でも私はこの音楽がものすごく好きなんだ!」ってフラストレーションを溜めてる割合が高いと思うんですよ(偏見)。だから、今回のようなどでかい会場でみんなが一斉にあんな曲やこんな曲で楽しく踊っている光景を見るだけで、ちょっと不思議な気持ちになるんじゃないでしょうか。「小沢健二の曲を聞き込んでいる人が、世の中にはこんなにいるのか!」って。
 それと、今回の会場のうち、東京国際フォーラム以外(つまり大阪城ホールと日本武道館)は客席がステージを囲むようなレイアウトになっています。だから、今後の公演では360度あらゆる角度のあらゆる距離から楽しめる演出が用意されているはずです。
 ごめんなさい、大阪城ホールについては訂正です。「ステージを囲む」というほどのレイアウトではなかったです。アリーナもスタンドもステージと向かい合う形でした。(多少のマイナーチェンジはあったものの)視覚的な演出は東京国際フォーラムも大阪城ホールもほぼ同様でした。
 もし、まだ今回のライブに行こうかどうか迷っている人がいたら、席種を問わず、今からでも入手できるチケットで観てほしいです。
 

7.帰り道も油断は禁物

 東京国際フォーラムでは終演後、ホールからの帰り道に、ある「映像」が流れていました。僕はその映像に気づくのが遅くてちゃんと観られなかったのですが、どうやら今回のライブのリハーサル風景を収めたモノクロのメイキング映像だったようです。どうかお見逃しなく。大阪城ホールでは、会場外にある物販用テントの白い屋根に投写されていたようです。「お見逃しなく」なんて言っておきながら、僕自身見落としてました……。あと、武道館ではそもそも映像自体流れていなかった模様。最終日は映像撮影用のカメラクルーも大勢入っていましたし、ライブの模様がソフト化された暁には、特典映像でこちらのメイキングも収めてほしいところですが……どうでしょうね。
 あと、小沢氏による説明はなかったですが、初日の開演前・終演後の会場内BGMは川辺ヒロシ氏がリアルタイムでDJをしていたそうです。たしかにこれまでの小沢氏のライブとはちょっと毛色の違う選曲かなと思ってました。Shazamで曲目を確認している人も多かったですね。他の会場でも川辺氏がDJするんでしょうか? 大阪城ホールでのDJはJUDO氏*1だったとの情報あり(公式発表はなし)。やっぱりバックグラウンドでDJがリアルタイムに繋いでそうな様子で、初日とはまた違うテイストの選曲だったと記憶してます。武道館も同様にBGMが流れていましたが、DJが誰だったかは不明。
 

8.(余談)レコジャケ・ジャケットは良くも悪くも目立つ

 今回のグッズの中でもひときわ異彩を放つ逸品、レコジャケ・ジャケット。背中にレコードジャケットを収納するアイデアはもとより、その収納部分に小沢氏の顔がプリントされてたり、色が強烈に目立つ原色だったり、洗濯機もドライクリーニングにも対応していなかったり(つまり洗う術なし)、普段使いをまったく考慮していない潔さにシビれます(褒めてます)。しかも金額が17,000円!
 これを1着どころか2色とも購入しちゃう人はどうかしてると思いますね。つまり僕です。

 元から着用する気満々だったので、自宅のレコード箱を漁って『VILLAGE』のレーザーディスクのジャケットを選んで(中身のディスク等は抜いて)持っていきました。レコジャケ・ジャケットにレーザーディスクのジャケットを収納する暴挙! これが本当のヴィレッジ・ピープルだ! でもデザイン的にすごく収まりがよくて満足。収納したジャケットがボロボロになっちゃうのでは? って心配もありましたが、後で確認してみても特に傷んだ様子はなく安心しました。

 初日の会場でこのレコジャケ・ジャケットを着用している人は僕以外に誰も見かけませんでした。おしゃれに着飾った東京国際フォーラムの人々のなか1人だけこんな浮ついた格好をしているので、とにかく目立つしとにかく話しかけられました。知り合いにも、初対面の人にも。おかげで、僕がぼけーっと突っ立ってるだけでどんどん知り合いがこちらへ集まってくる。ちょっとしたランドマーク気分ですよ。ネット上でしか交流のなかった人にも「かがりさんですか?」とお声かけいただいたり、「かがりさんを見かけた」的なツイートが飛んできたり。しまいには、全然知らない男性が「素材感を確かめさせてほしい」とおもむろに僕のジャケットに触れてきました。なんだったんだあれは。
 知り合いには「スタッフ(スーツ着用)よりもスタッフっぽい」と評されましたが、どっちかっていうと「歌舞伎町の名物おじさん」とかそういうベクトルの目立ち具合だったと思います。
 話が大幅に逸れちゃいましたが、何を言いたいかっていうとレコジャケ・ジャケットはすごく面白いアイテムなので、お財布に余裕のある人or後先考えず面白そうなものはとりあえず買っちゃう人(もちろん僕は後者)にはオススメ! って話です。
 普段使いはできないけど、家でハンガーにかければちょっとしたレコードディスプレイにもなりますね。まあ、17,000円も出せば普通のレコードラックが買えてお釣りが来そうですが……。

 あと、値段が値段なだけに頑丈でしっかりした作りになってますが、おかげで着てると暑い! ライブが始まった時点では着てましたが、暑すぎてすぐに脱いじゃいました。スタンディング席の人は脱いだジャケットの置場に困ること必至なので、ロッカーに預けてしまったほうが無難だと思います。
 2日目、大阪城ホールならみんな着用してくるだろう! 4月27日ごろに公式のグッズ紹介ページに追記された小沢氏の文章でも

もちろん、会場でレコードを入れて着るのが上級者です。「え? 普通入れますよね」くらいの顔で着てください。どーせ非日常です。
出典:https://hihumiyo.net/haru-sora-niji/

と書いてあったし、開場前の大阪城公園なんてもうレコード入りレコジャケ・ジャケットを着た上級者でいっぱいに違いない! と期待し、フリッパーズ・ギターの1st(ライブ前日に大阪のレコ屋さんにて購入。しかもプロモ盤!)を入れて意気揚々と大阪城公園へ向かったのですが。ですが。

 結論からいうと、僕以外にレコードを入れてレコジャケ・ジャケットを着ている人は1人も目にしませんでした。レコジャケ・ジャケット自体を着用している人はごくごく稀にお見受けしたのですが、どなたもレコードジャケット(およびレーザーディスク)は入れておらず……。大変に寂しい思いをしました。みなさん、もっとレコジャケ・ジャケットを楽しみましょうよ!
 ちなみに、大阪城ホールの物販コーナーに立っていたマネキンの着用例では、レコジャケ・ジャケットの背中にNas『Illmatic』やEric B. & Rakimなど小沢氏好み(?)と思しきジャンルのジャケットが入ってました。

Illmatic

Illmatic

  • アーティスト:Nas
  • Columbia
Amazon
 
(2018年5月5日追記)
 えー……以上の内容を書いたあと、大変なことが起こりました。
 5月2日の武道館公演初日の朝、起きぬけにTwitterを見ていたら視界に飛びこんできた、「レコジャケ・ジャケットが値下げしてる」との情報。あわてて公式のグッズ紹介ページへアクセスすると……。
 なんだよ「End of Season SALE」って! いきなり半額になってるじゃねえか!
 先述のとおり、僕は初日に赤と青を1着ずつ購入しました。もちろん定価の17,000円で。いちまんななせんえんたすいちまんななせんえんはいくらになるのかな? えーと、うーんと、さんまんよんせんえん! さんまんよんせんえんで買った僕はもう、ただただ絶句し、錯乱しながら上記のツイートをしたのでした。
 さすがに半額になってからは着ている人を多く見かけるようになりましたね。でも、律儀にレコードジャケットを入れていたのは1名(それも知り合い)だけだったと思う。
 で。初日と2日目にレコジャケ・ジャケットを着用している人が極端に少なく、ちゃんとレコードジャケットを入れて着用しているのはおそらく僕だけ――というのは多くの人が知るところだったので、武道館では会う人会う人からネタにされました
 「へえー、やっぱり定価で買ったジャケットは質感が違うね!」(※もちろん定価でも半額でも品質に変わりなし)と絡まれたら、「ははー、これが半額のジャケットですか。やっぱり安物は作りがちゃっちいですねえ……」(※もちろん定価でも半額でも品質に変わりなし)と切り返す。きわめて不毛な争いです。「これが定価で買っちゃったやつですか(笑)」って、武道館2デイズのうちに10人以上から言われたはず。
 でもね、いいんです。これだけネタになったのならもう差額分の元を取ったようなもんですよ。たとえ今後、この定価で買ったレコジャケ・ジャケットを着用する機会がほとんど無いとしても。たとえ今後、この定価で買ったレコジャケ・ジャケットを汚してしまっても洗う手段が無い(洗濯機もドライクリームも禁止)としても。あれ、なんだか目頭が熱くなってきました……5月なのにまだ花粉が飛んでいるんでしょうか。しかも僕は花粉症じゃないのに……。

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【4】5/2,3開催の非公式オールナイトイベント「春の余韻に砂をかけ」のお知らせ

 それでは、ネタバレ全開のライブレポート本編……の前に、ちょっと広告を入れさせてください。
 5/2,3の武道館公演の後に、渋谷でオールナイトのイベント(もちろん非公式)を開催します。武道館で完全燃焼した後ですから、派手に踊るのではなく、ほどほどのペースでゆったりと余韻を味わえるイベントにできればと思っています。
 列島各地にショッカーのように潜む小沢ファンの人たちが大都内に集結する夜なんて、今後何回あるかわかりません。せっかくの機会、武道館から日常に帰る途中で立ち寄られてはいかがでしょうか。
 初日の終演後、知り合いの方々と立ち話したりうどんを食べながら感想を述べたりしたんですが、やっぱり全然時間が足りない! 喋りたいことが多すぎる!! そんなわけでこういう場をご活用いただければ幸いです。
 詳しくは以下をご参照ください。

(2018年5月5日追記)
 おかげさまで両日ともたくさんの方にお越しいただきました。「2日連続でやるなんてどうかしている」と言われたりもしましたが、フタを開けてみたら1日目と2日目の来場者はほとんど被っておらず、2デイズ開催にした意味はあったのかなと自負しています。このイベントのこぼれ話もいろいろありますし、予約受付時に記入いただいたアンケート結果も思った以上に面白かったので、そのあたりは別途ブログの記事にするつもりです。
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※以下ネタバレです。全公演が終わった今、ネタバレを目にしたくない人もいないとは思いますがいちおうスペースを空けておきます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【5】「36人編成ファンク交響楽」メンバー(※未完成)

  1. 小沢健二(ボーカル、ギター)
  2. 満島ひかり(ボーカル、他)
  3. 土方隆行(ギター)土方隆行 (@KATAYAN6923) | Twitter
  4. 中村キタロー(ベース)
  5. 白根佳尚(ドラムス)白根 佳尚 / 𝒀𝒐𝒔𝒉𝒊𝒕𝒂𝒌𝒂 𝑺𝒉𝒊𝒓𝒂𝒏𝒆 (@DrShirane) | Twitter
  6. 及川浩志(パーカッション)
  7. 西村奈央(オルガン)西村 奈央🎹Nao Nishimura (@nyaoyan1008) | Twitter
  8. 服部隆之(指揮、エレクトロピアノ)
  9. 朝川朋之(ハープ)https://www.ifif77.com
  10. 奥村愛(ヴァイオリン)Ai Okumura Official Site | Top
  11. アンディ・ウルフ(サックス)https://www.andywulf.com/profile.html
  12. ルイス・バジェ(トランペット)ルイス・バジェ (@luisvalle_info) | Twitter

※以上、とりあえず憶えている範囲で記載しました。公式発表等あれば追加いたします。

 今回の「36人編成ファンク交響楽」、「ひふみよ」以降のライブでは最多人数の編成です。
 なんといっても満島ひかりさんの参加が最大のサプライズでしょう(小沢氏は「事件」と表現)。しかも1曲や2曲のゲストではなく、最初から最後までフル登板。時にはコーラス、時にはボーカル、時には芝居(!)、時にはギター(!?)と、実にマルチな活躍ぶりでした。初日は気づきませんでしたが、2日目は目の周りに赤い縁取りのメイクをされてましたね。歌舞伎の隈取りほど派手じゃないけど、そういうイメージなのかな?
 人数の話でいうと、2016年のツアー「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」は(小沢氏のライブにしては)少人数の7人編成でしたが、2017年にリリースした『流動体について』や『フクロウの声が聞こえる』ではストリングスやオーケストラを入れたり、フジロックのホワイトステージでは「魔法的」メンバーにスカパラホーンズ等を加えた大所帯だったりと、大人数で奏でるほうに小沢氏の気持ちが向いているのかな? って気がしていました。そこで今回の36人編成、と考えるとすごく自然な流れに思えます。実際、初日のMCで『流動体について』のレコーディングが今回のライブの大きなきっかけになった、と述べてましたし。
 リズム隊をいつものメンバーでしっかり固めつつも、それ以外のメンバーは初共演の人が多いのも大きな特徴ですね。5月2日にスカパラのライブがあるのでスカパラの参加は無いかな? と思ってましたが。
 あと、個人的に推したいのは指揮の服部隆之さん。『LIFE』の頃からレコーディングでもライブでも小沢氏と何度となく共作・共演していますが、ステージ上で共演するのはめちゃくちゃ久しぶりなのでは? 服部さんが指揮する楽団の演奏ももちろん最高ですし、なにより服部さんご自身の動きがものすごくかわいい! 指揮者の動きって、背中越しでも人柄みたいなものがすごーく伝わってきますね。指揮をしない曲では椅子(カホン?)に座り、客席のほうを向いて楽しそうな身振り手振りでノっていたのも素敵です。
 どうしてもフロントの小沢氏&満島さんに目がいってしまいますが、ほかのメンバーの方々も皆さんすごく楽しそうで最高です。
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【7】詳細ライブレポート

※文中にある小沢健二氏や満島ひかりさんの発言は、僕のメモや記憶を頼りに書いているため正確ではありません。ご了承ください。

1.アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)


https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%82%B8%E3%82%AA-%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%A8%E9%AD%94%E6%B3%95%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%85%88/1340604298?i=1340604567&uo=4&at=1000lsTG
 会場の照明が暗転し、薄暗いステージの上に次々とメンバーが登場。
 「アルペジオ」イントロのオルガンの和音がずーーーっと長く響くなか、小沢健二氏が覚悟を決めたように息を吸いこむ様子が見えます。
 その第一声は「僕の彼女は君を嫌う」から始まる、一連の「アルペジオ」の語り部分。CDに収録されているようなリズミカルなラップ調じゃなくて、語り、というかほとんどシャウトに近かったです。ひと息で吐き出すような、力強い口調。
 「僕は全身全霊で歌い続ける」の後に一旦「とーきょー!(おーさかー!)」と呼びかけ、「日比谷公園の噴水が(略)リハーサル終えて出てくる」から恒例のカウントダウン「10, 9, 8, 7……」で開幕!
 「『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』。東京(大阪)、一緒に歌おう!」
 満場の歓声の中、あらためてイントロのギターから始まる「アルペジオ」。
 会場の照明が点くと、小沢氏の隣には満島ひかりさんの姿! ステージのバックでは無数のシャボン玉が舞い上がってゆきます。大阪城ホールでは、アリーナ席前方の真上に大量のシャボン玉が飛んでいました。観客の身体に命中しまくるレベルで。武道館でもアリーナ上空に大量のシャボン玉。砂かぶり席の正体は泡かぶり席でした。
 「ボーカル、満島ひかり!」の振りを受けて満島さんが「僕の彼女は君を嫌う~」と語り(歌い)ます。Mステのときと同様、語り部分は2人のかけ合いで展開しますが、「小沢くん、インタビューとかでは 何も本当のこと言ってないじゃない」の部分は3回くらい繰り返して、みんなで合唱させられました。やった、2月に予想(下記ツイート参照)した通り! 数千人単位で一斉に「何も本当のこと言ってないじゃない!」と責める(?)のが楽しすぎます。


 最終日、満島さんが「子ども産み育て離婚したとか聞く」の「産み育て」あたりを噛んで苦笑してましたが、客席からは逆に歓声が上がっていた気がします。

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2.シナモン(都市と家庭)

https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%A2%E3%83%B3-%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%81%A8%E5%AE%B6%E5%BA%AD/1291318778?i=1291319094&uo=4&at=1000lsTG
 「変! 身! す! る!」の振り付け(変身ボーズ)は「SONGS」出演時と同様。たしか「魔法的」ツアーで初披露したときは一番最後の「変身する」のときだけ変身ボーズを決めてましたが、今回は「変身する」のフレーズのたびに欠かさず変身ポーズが入ってました。
 間奏ではメロディに乗せてメンバー(全員ではなく一部)の紹介。「しぃらね、よぉしたか~♪」「ベースは中村キタロー♪」「にっしっむっらっ、なーおー♪」みたいな調子で小沢氏が歌い、それを観客も復唱する形ですが、文章だとメロディの感じが伝わりづらいですね。そういえば「魔法的」のメンバー紹介もこの曲の間奏でした。初日のみ、ミュージシャンだけでなく、ステージ上のカメラマン・奥山由之氏も紹介されていました。リズムに乗せて「あとで写真が公開されるよ 楽しみだね」的な小沢氏の説明。
 ちなみにこの時点でステージに上がっているメンバーはおそらく半分弱(15名くらい?)だったと思います。少しずつメンバーが増えていって、次の「ラブリー」の途中で服部隆之さんも含めて全員揃ったのかな? 特にストリングスは後から合流してくる人が多かったと思います。
 
 最後の「シナモンの香りで 僕はスーパーヒーローに……」まで歌って溜めたところで、メンバー紹介的なMCへ。

満島ひかり:「このまま最後までステージで歌います!」と紹介して大歓声。
土方隆行(ギター):「強い気持ち・強い愛」などのレコーディングに参加しており、「昔も一緒にライブをやりたかったけどできなかった」と念願の共演だったそうです。
朝川朋之(ハープ):90年代のライブにも参加しているが、共演は久々。「朝川さんのハープと僕のボーカルを合わせる難しい曲があるのでお楽しみに」みたいな予告がありました(おそらく「いちょう並木のセレナーデ」のこと)。
西村奈央(オルガン):「スカパラの沖(祐市)さんみたいなオルガンを弾ける人をずっと待っていた」「アルペジオのデモを録るときに音を聞いてびっくりした」とベタ褒め。先日のMステでも共演してましたね。

 あと、たしかここで、「アルペジオ」について「自信作なんですよ~」と嬉しそうに語っていた気がします。このあたり、異様にテンションの高い語り口で、90年代の小沢氏を彷彿とさせる機嫌無敵っぷりでした。
 そして、「大会場なのでみんなと歌いたい」と宣言。「男子!」「女子!」と呼ばれたときに、自分の気分で「女子だ!」と思ったら歌ってください、とのこと。
 ……と、ご機嫌なMCを経て、何事もなかったかのように「シナモンの香りで僕はスーパーヒーローに変! 身! す! る!」と演奏に戻りました。この時点でもう、演者と観客も尋常じゃないテンションになってますね。

 大阪城ホールでは上記の部分が大きく変更。「シナモン」のあと、次の「ラブリー」のイントロ(リズム隊のみ)に乗せてのメンバー紹介でした。覚えている範囲で紹介の内容を以下に。

及川浩志(パーカッション):「音楽家になることを選ばなかった音楽家です!」
朝川朋之(ハープ):「96年の大阪城ホールでも共演しました!」
西村奈央(オルガン):「最近出会った天才です」「左手でベース、右手でカッティング(※うろ覚え)を弾きます」
満島ひかり:「マスコミ報道のとおり、このまま最後まで歌います!」

 メンバー紹介のあとは初日同様、「大阪女子」「大阪男子」と呼ばれたら女子の気分の人は女子のところで歌うように、と説明。「次の曲も出だしを歌ってください、出だしを!」と呼びかけ、「ラブリー」のイントロを(小沢氏は歌わず)観客に歌わせていました。しかも1番のみならず2番の出だしも。
 武道館でも大阪城ホールの形式を踏襲。紹介のフレーズ*2はちょっと変更されていたので、覚えている範囲で紹介の内容を以下に。

及川浩志(パーカッション):「ラブリーのMVに夫婦で出ています。本業は建築業。東京という都市を造っている音楽家です!」
朝川朋之(ハープ):「あなたの心を射抜きます」(朝川氏、ハープを弓矢のように構えるポーズをとる)
西村奈央(オルガン):「『アルペジオ』のデモ収録のときに演奏が良くて、そのまま正式録音になりました!」「また録音しような!」
奥村愛(ヴァイオリン):「2012年の『東京の街が奏でる』で共演して以来、テレビ出演なども一緒です」

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3.ラブリー

https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%BC-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%B9%BE%E4%B8%8A%E5%B1%8B%E5%BD%A2%E8%88%B9live%E3%81%AF%E9%9B%A8/1340604298?i=1340604568&uo=4&at=1000lsTG
 みなさんがお待ちかねのこの曲。「録音時のオリジナル歌詞カードTee」は2枚に分かれています。
 「Apple Musicでやったやつの豪華版です」みたいな説明からスタート。満島さんとのボーカルの割り振りは「ラブリー、東京湾上屋形船Liveは雨」*3と同じだったかな? もちろん演奏は超豪華。途中からステージ中央に服部隆之さんが登壇したと思います。
 「魔法的」に引き続き、間奏のフルートはみんなで口ずさむことになるので、あらかじめ練習しておきましょう。
 「Lovely Lovelyで 完璧な絵に似た」の部分で、両掌をパーにして左右へ(窓拭きのように)動く振り付けがありました。
 大サビの部分でまだ登場していなかったストリングスのメンバー全員と指揮の服部隆之氏が登場。

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4.ぼくらが旅に出る理由


https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%8C%E6%97%85%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1/1319139302?i=1319139928&uo=4&at=1000lsTG
 「ラブリー」のアウトロから立て続けに。
 服部さん率いるオーケストラがいたら、そりゃあやりますよね。何度となく聴いたCD音源と同じストリングスが! 目の前で! 響いている! という感動。
 満島さんがステージ上でMVのモノマネをしているのが見どころです。着替えの服は今回のグッズで、歯ブラシは「それで歯を磨くわけないだろ!」なでっかいブラシ。客席のあちこちから女性の声で「かわいいー!」と聞こえてきました。歯を磨きながら新聞を読むシーン(MVでいうと1分10秒目くらい)、東京ではグッズの「春空虹之書」、2日目は「ある光」のアナログ盤を手にしていたと思います。レコジャケ・ジャケットの背中に「ある光」を入れたり入れなかったりしていた場面もありましたね。あと、満島さんの右の二の腕に透明ステッカーが貼られていることにこのあたりで気づきました。
 「こんなに遠く離れていると……」は客席の女子、「それで僕は腕を振るって……」は男子が合唱。

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5.いちょう並木のセレナーデ

https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%86%E4%B8%A6%E6%9C%A8%E3%81%AE%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%87-live-at-budokan/1319139272?i=1319139515&uo=4&at=1000lsTG
 ステージの上手と下手に1つずつ吊されたサンキャッチャーに照明が当てられ、会場全体に光が拡散します。
 「あれ、雨が降ってきましたね……」と突然の謎の小芝居。「野外」「フリーコンサート」みたいなフレーズを交えていたので、ソロデビュー時の野音のイメージだったんでしょうか。
 大阪城ホールでも同様の演出で「大阪のみなさん」と呼びかけつつも「野音、すげえ広くなってる」と言っていたので、やはり野音設定のようです。ただ、観客の困惑をよそに「雨降ってますよね?」と繰り返す小沢氏に対し、客席から子どもたちの声で「「雨は降っていません!!」」と反論が聞こえて笑いました。
 
このくだり、武道館公演では異様なムードになってきました。武道館初日では「若い人は知らないかもしれないけど、ここは昔、日本武道館って建物があったんですよ。でも金閣寺みたいに、放火で全焼しちゃって……」「ロックバンドのライブのスタッフが燃やしたらしい」「それで今はこの『北の丸アンフィシアター』って野外会場になってるんですけど」と謎の設定が登場。

 さらに、翌日の千秋楽では「昨日『ライブのスタッフが燃やした』って話をしたんですけど、あれは本当は違うらしいです」「ルイス*4がURLを送ってきてくれた陰謀論みたいなやつなんですけど、本当は、武道館の地下に徳川家の骨が埋まってて!」「なんかすごく(この話が)長くなっちゃってますけど(笑)」「そのパワーを手に入れようとしたCIAが*5……燃やしてしまった。それで今は『北の丸アンフィシアター』になっている」とスケールの大きな話に。どうしてしまったんでしょうか。めちゃくちゃ面白かったけど、周りを見ても腹抱えて笑ってたのは僕くらいだった気がします(基本的にみんな困惑していた模様)。このMCのあとは、客席を煽るときに「東京!」や「武道館!」ではなく「北の丸!」と呼びかける頻度が高かったです。
 「こんなときは傘でも差しながら歌いたいですね」と述べ、ステージ上手のベンチ(?)に腰掛けて満島さんと相合い傘で「いちょう並木」。2人の後ろにはメンバーが(人力で)飛ばすシャボン玉。まるでミュージカルの一場面のような構図でした。「I'm ready for the blues」の最後のフレーズは、ひふみよ等でおなじみの「あ、あ、あ、わかってきてる」
 担当パートの演奏がないメンバー(服部氏、白根氏、キタロー氏、ストリングス隊等々)も、カホンを叩いて演奏に参加していました。フロントの2人以外はほぼ全員カホンを椅子にしていたと思います。白根氏だけはドラムセットの脇にカホンが置かれてて、そこへ手を伸ばして叩く格好でしたが。
 ナタリーのライブレポートに書かれた小沢氏のコメントによれば“満島さんには歌だけでなく、演奏にも演出にも美術にも、どんどん参加してもらいました”とあるので、このあたりの演出は満島さんのアイデアかもしれません。
 最終日、このあたりで客席から男性の声で「小沢くん、女の子ばっかり歌わせてずるい!」と野次が飛んで笑いました。しかも、あまりによく聞こえる野次だったので、小沢氏もムッとした様子で「じゃあ男子、いっぱい歌ってもらうからな! 喉が枯れるまで歌えよ!」と答えて、そのあとも何度か「男子! 歌え!」などと煽っていました。言われるがままに僕は全身全霊で歌い続けましたが、まわりの人にはうるさかったかもしれません。すいません。

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6.神秘的

https://itunes.apple.com/jp/album/%E7%A5%9E%E7%A7%98%E7%9A%84/1291245540?i=1291246374&uo=4&at=1000lsTG
 引き続きベンチに腰掛けたままですが、小沢氏のすぐ隣に座っていた満島さんは下手側のベンチに移動。
 また、「いちょう並木」でスタンドマイクを使っていたのを、この曲ではヘッドセットマイクに切り替えてました。「ギターが難しいのでマジメに演奏する」と述べていたので、ギターを大きく動かしながらでも歌いやすいようにヘッドセットマイクを選んだのかもしれません。
 演奏前、「子どもが周りにいる人とか、感じる歌詞があれば一緒に歌ってください」「子どもが側にいる大人や、子どもたちに向けて」と呼びかけてました。
 1番は満島さんがメインボーカルで、コーラスを小沢氏。2番では担当が逆。CD版に近い形式で、メインボーカルではないほうの人が「闇の中へ高く飛ぶ華やかな緑」「不可思議を超える」を台詞のように読み上げてました。「東京の春の雪」のフレーズは、大阪城ホールでは「大阪の春の雪」に。

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7.いちごが染まる

 スローなテンポの曲が続きますが、ここではステージ中央に戻ってスタンディングで演奏。
 イントロのハープソロの間に、ステージ前方のベンチ(?)に腰掛けていたストリングスのメンバーが後方へ移動(初日でも同様の配置換えがあったかもしれませんが記憶に自信なし)。
 演奏中に満島さんが、小沢氏の周りに4本の透明な柱を立てて、の柱を囲むように赤と緑の蛍光色の糸(?)をグルグルと巻き付けてゆきます。適切な喩えかどうかわかりませんが、プロレスのリングみたいな状態。ナタリーの初日ライブレポートに載っている写真はまさにこの場面ですね。

 赤と緑の糸が交差していくうちに、だんだん不思議な模様ができていきます。いちごの色にも見えますし、また、アルバム『刹那』のジャケットのようでもあります。そういえば今回、『刹那』のジャケットデザインを手がけた平野敬子さんからお祝いの花が来てましたね。
 ちなみに、この曲の歌い出し前に小沢氏が上着を脱いだとき、周りのご婦人がたが身悶えしていて楽しかったです。
 最後の「今もう少しで」の「で」をめちゃくちゃ長く伸ばして歌い(体感時間でおそらく30秒くらい)、そこにドラムの絡むアウトロが最高でした。

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8.あらし

 「ひふみよ」以降のライブでは毎回1曲ずつ入ってくる『Eclectic』枠。僕は前々から「∞(infinity)」を予想していたんですが、はずれました……。


 「東京の街が奏でる」以来の「あらし」。ホーンが加わって、よりオリジナルに近いアレンジになっていたのかな。
 満島さんがクリスタルのような透明の石(これもサンキャッチャー?)を手にしていて、それで客席のあちこちを照らしていました。
 それと、白根さんのドラムがすごかった! 初日の自分の位置からはステージ下手にいる白根さんの姿がよく見えなかったのですが、できれば他の会場では白根さんの勇姿をしっかり眼に焼きつけたいです。
 2日目の自分のメモを読み返してみると、「白根ドラム、中村ムーグ、及川パーカッション、ストリングス、最高」とだけ書いてありました。たしかに最高でした。とくにリズムセクションのライブアレンジは明らかに小沢氏が力を入れているとわかる異様な凝りっぷりで、たまりません。
 「いちょう並木」から「あらし」まで、スローなテンポの曲が4曲続きますが、全体の流れで見ると、このあとはもう息をつく間もない怒涛の展開なんですよね。

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9.フクロウの声が聞こえる

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 「36人編成ファンク交響楽のど真ん中のやつをやります」と宣言してスタート。
 2日目は「満島ひかりがスティックで叩いて照明を操作します」と説明。なるほど! これが本当の満島ひかり(照明的な意味で)! ……すいません。
 満島さんの下手側には電子ドラムのパッドとスティックがあり、これが会場内の照明のスイッチになっていたようです。満島さんがパッドを叩くと、それに応じた照明がストロボのようにビカビカと点滅。1日目も同様の機材が置かれていたので、(小沢氏による説明は無かったけど)やはり同様の仕掛けがあったと思われます。
 「魔法的」バージョンと「小沢健二とSEKAI NO OWARI」名義のCD版とで、別の曲と言っていいほどアレンジが大きく異なりますが、意外にも今回は前者寄りのアレンジでした。
 (CD版ではカットされていた)イントロのギターリフや「直観と推論」「凍えることなんてないから 寒かったら暖炉に火灯すから」のフレーズが復活! あと、Fukaseさんパートを満島さんが歌うわけでもなく、ボーカルは小沢氏ひとり。「Uh, uh」や「そう、そう」の合いの手もなし(これはちょっとさびしい)。「Saori!」もなし(これはSaoriさんがいないので当然)。ただ、「Saori!」の入るところで「もう1回!」と叫んで、「Uh, uh, uh」*6とリズムを取りながらさらなる山場へ入っていく部分が2回ありました。これ、めちゃくちゃ盛り上がる。また、終盤の「導くよ! 宇宙の力」の部分では、ホーン隊が演奏しながら楽器を斜め下へ振っていました。
 セカオワと一緒に録ったCD版ももちろん大好きなんですが、個人的にはやっぱり初めて聴いた「魔法的」バージョンへの思い入れが強いんです。なので、それを36人編成ファンク交響楽で発展させた今回のアレンジには「そう! これ! これが聴きたかった!」と大感動。
 間違いなく、今回のライブの大きな見どころのひとつです。すごかった、超すごかった。曲が終わった後の歓声もとびきりでかかった気がします。曲の間に踊ったり手拍子をしたりするような曲じゃないぶん、終わった後、堰を切ったように歓声が爆発する感じ。
 大歓声を浴びた小沢氏の「ここで終わってもいいんですけど(笑)」と飛ばしすぎたジョークを交えつつ、さらなる見せ場へと突入してゆきます。

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10.戦場のボーイズ・ライフ(一)

 ここまではわりと想定範囲内のアレンジが多めかな……? と思っていたら、ここからのメドレーがとんでもなかった!
 「戦場の/愛し愛されて/東京恋愛専科/生きるのさ/ボーイズ・ライフ」!
 「ひふみよ」で「ローラースケート・パーク」⇒「東京恋愛専科」⇒「ローラースケート・パーク」のメドレーがありましたが、それをさらに過激にしたバージョン、といえば良いんでしょうか。
 一番手の「戦場のボーイズ・ライフ」は小沢氏と白根氏がアイコンタクトでタイミングを合わせて演奏開始。
 「ラッキースター」のフレーズは(なぜか)省略。「胸の奥にそっと~」のパートは満島さんボーカルでした。
 「僕にとって射す光」の「射す光」のフレーズを繰り返して、次の「愛し愛されて生きるのさ」へフェードイン。

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11.愛し愛されて生きるのさ(一)


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 「魔法的」のセットリストに入ってなかったので、ライブではずいぶん久しぶり……? と思ったけど、去年のフジロックでやってましたね。「録音時のオリジナル歌詞カードTee」にもなっています。
 ところどころ途中のフレーズを会場の女子や男子が合唱し、「そんな言い訳を用意して」のフレーズから「東京恋愛専科」へ。

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12.東京恋愛専科


https://itunes.apple.com/jp/album/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%81%8B%E6%84%9B%E5%B0%82%E7%A7%91-%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E6%81%8B%E3%81%AF%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8A%E3%82%83%E3%83%9C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC-%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC/1319139302?i=1319139656&uo=4&at=1000lsTG
 「それでいつか僕と君が齢をとってからも たまにゃ2人でお出かけしたいんだよ」のフレーズから開始。満島さんやストリングス隊がシャボン玉を吹いていました。
 フジロックで新しい振り付けがありましたが、今回はまた別の振り付けが登場。「ばーらーばー……」の部分で「雨、雨、あれ?、傘、目目、耳耳、鼻鼻、口口、キラキラ、空ー!」というもの。言葉だけじゃ何が何やらですね。


 フジロック版も好きでしたが、今回のコレも楽しい(けど慣れるまで難しい)です。
 「ばー、らー、ばー」と歌い出す直前のカウントは「uno, dos, tres!」となぜかスペイン語。
 あと、2番の「BASSLINEに乗って 踊りましょう」のあとにもう1回「踊りましょう!」と繰り返しがありました。ここもすごく好き。
 「東京恋愛専科」はもちろん好きな曲ですが、綺羅星の如き名曲揃いの『LIFE』の中ではちょっと陰が薄いほうだと思うんです(他の曲が凄すぎるんですが)。でも、今回のライブに行った人に「どの曲が印象的だったか」と聞いたら、「東京恋愛専科」は間違いなく上位に入ると思います。36人編成ファンク交響楽の編成で聴いて、歌って、踊るには最高の曲ですね。めちゃくちゃ気持ちいいダンスチューンであることに改めて気づいた人も多いんじゃないでしょうか。最終日、すぐ近くの席に2人の娘さんを連れた女性のかたがいらしたのですが、上の娘さん(たぶん小学校低学年くらい)が終演後に「ばー、らー、ばー♪」と楽しそうに口ずさんでいる姿が印象的でした*7

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13.愛し愛されて生きるのさ(二)

 BPMがグンと早くなって、「家族や友人たちと!」の語りから再び「愛し愛されて生きるのさ」へ突入。「我ら、時を行く!」のフレーズも健在でした。
 細かすぎて伝わらないかもしれませんが、「眩しげにきっと彼女は~」の「ま」の入りがちょっと食い気味&伸ばしてました。「まぁ~ぶしげに」って。1回きりの即興の譜割なのかな? とも思ったけど、少なくとも武道館では2日ともこの形式だったはず。

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14.戦場のボーイズ・ライフ(二)

 ボーイズ・ライフに始まりボーイズ・ライフに終わるメドレー。
 ここの歌詞、「VILLAGE」で歌われていた3番(?)のフレーズだったと思います。「戦場のボーイズ・ライフ」の曲構成って変則的で、「大サビ⇒1番⇒2番⇒サビ⇒ブリッジ⇒サビ⇒サビ⇒大サビ」*8みたいな流れなんですよね。で、CD版では2番までしかないんだけど、たしかVILLAGE版では「大サビ⇒1番⇒2番⇒サビ⇒3番⇒サビ⇒ブリッジ⇒サビ⇒サビ⇒大サビ」の流れだったと記憶しています(あとでちゃんと確認します)。ここで歌われているのは、この「3番」以降のパートだったんじゃないかと。
 ちなみに、シングル『戦場のボーイズ・ライフ』の発売が1995年5月17日「VILLAGE」ツアーが同年4~5月ごろ(ビデオ化もされた武道館公演「VILLAGE "the show"」が5月13日)。おそらく、レコーディングがおこなわれたのはそのもうちょっと前でしょう。順番的には「CDレコーディング⇒VILLAGEリハーサル⇒VILLAGEツアー⇒CD発売」って流れだったんだろうと推測します*9
 「いつだってSOULは~」の部分はカット。
 大サビの「いつだって信じてー!」で小沢氏が頭上にサンキャッチャーを掲げると、ステージの可動式ライトが一斉に小沢氏のサンキャッチャーへ向いて、会場全体に光が拡散しました。神々しい!
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15.強い気持ち・強い愛

https://itunes.apple.com/jp/album/%E5%BC%B7%E3%81%84%E6%B0%97%E6%8C%81%E3%81%A1-%E5%BC%B7%E3%81%84%E6%84%9B/1319139272?i=1319139512&uo=4&at=1000lsTG
 アップテンポな曲の畳みかけが続きます。「魔法的」ツアーでも必ず毎回盛り上がってましたが、もちろん今回も客席のボルテージは最高潮。
 「ひふみよ」以降のライブでは毎回そうですが、「Stand up, ダンスをしたいのは誰?」の部分は今回もカットされていました。あと、これも最近のライブ版のお約束で「夜をブラつき歩いてた」の部分は「あーるーいーてたぁー!」と上がる感じ。
 ……すいません。このあたり、テンションが上がりすぎてたようで正直よく覚えてないです。ライブ中にメモをとってたんですが、この曲に関してはたった1文字、「強」としか書いてません。強かったんでしょうね。全体的に。
 ただ、曲が終わったあと、スタッフの持ってきたギターが満島さんに手渡されるのが見えて驚いたことだけはよく覚えてます。
 
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16.ある光


https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%81%82%E3%82%8B%E5%85%89-jfk-816-full-length/1341607260?i=1341607495&uo=4&at=1000lsTG
 Apple Musicの『Tokyo, Music & Us 2017-2018』で峯田和伸氏とセッションしたり、Apple MusicとiTunes Storeで配信したり、今回の「録音時のオリジナル歌詞カードTee」にラインナップされていたり。これだけ条件が揃ってて「ある光」をやらないはずがない! と期待していた人も多いでしょう。もちろんやりました。
 しかも、イントロのギターを弾くのは満島ひかり! 満島さんのギターから響くディストーションをかけて歪みまくったリフに乗せて、「フゥーッ、ウーッ、ウー!」とコーラス。めちゃくちゃ疾走感のあるサウンドで、なんだなんだこの曲は、まさか新曲? と動揺していたところで「let's get on board!」のシャウトが響き、客席に歓喜の声が上がります。24名がかりで奏でるストリングスのドラマチックな旋律がもう最高。
 「ある光」といえば「この線路を降りたら赤に青に黄に(パンパン)」のクラップをどうするのか問題、というのがありまして。初日はステージ上のメンバーがこのクラップを叩いているように見えず、パンパンしていいものかちょっと悩み(つつもやっぱり叩き)ましたが、2日目に及川浩志氏のほうを見てみたら、この箇所でスティックを掲げて客席へアピールするような動きでパーカッションを叩いておられました。なので、叩ける人はもう積極的にパンパンと叩いていいんじゃないでしょうか。
 「強烈な音楽がかかり……」「僕の心は震え……」といった語りが入るたびに大歓声。
 2012年の「東京の街が奏でる」以降、「let's get on board!」の後に「光よ! 一緒に行こう!」と歌われていましたが、今回はフレーズが違ってました。「遠くまで行こう しっかりと(しっかり行こう?)」みたいに聞こえましたが、ちょっと自信ないです。最終日にわりと明瞭に聞こえました。「飛び立とう! 光と!」「心の! 光と!」だったと思います。たぶん。
 ラストは、小沢氏と満島さんがギターをかき鳴らしながら向かい合って、タイミングを合わせてギターを振り下ろして演奏終了。まるでロックバンドのよう!

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17.流動体について


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 大阪ではここで「次の曲も一緒に歌ってください」「狂ったように!」と煽りまくってました。
 例のハンドクラップからスタート。フジロック'17のホワイトステージでは、このハンドクラップからフェイントで「ぼくらが旅に出る理由」が始まりましたが、今回は素直に「流動体について」でした。
 昨年末のMステ出演時と同様、「なかったのなら」「舞い降りる時に」の部分は上がらずに下がるパターンもあり。
 最後の大サビは3回くらい繰り返した気がします。「もう1回!」の呼びかけのたびにどこまでもどこまでも客席の熱量が上がってゆきました。やっぱりこのあたりも興奮しすぎて記憶があいまいですね。
 本編はここで終了。4公演すべて「アンコール呼んでください!」*10と述べてステージから退場。

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(アンコール)

 アンコールではメンバー一同、グッズのTシャツかレコジャケ・ジャケットを着用して登場。グッズ紹介ページ「バンドメンバーのオフィシャルコートですが、さてさてみんな何を入れてくるのやら」と書かれていたのでメンバーの背中に注目していた、のですが――どの日も、僕が見た限りではレコードを収納していた人はいなかった気がします。残念。

18.流星ビバップ

https://itunes.apple.com/jp/album/%E6%B5%81%E3%82%8C%E6%98%9F%E3%83%93%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%97/1319139272?i=1319139492&uo=4&at=1000lsTG
 ものすごくスローなテンポで「薫る風を切って公園を通る 汗をかき春の土を踏む……」*11のフレーズを弾き語り。
 「春! 空! 虹、春、空、虹!」*12のカウントから、36人編成ファンク交響楽による高速BPM演奏にギアチェンジ。
 満島さんが赤のレコジャケ・ジャケットを羽織り、ポケットに両手を突っ込んだままダンスステップ。歌詞に「流れ星」のフレーズが出てきたところで、ポケットから空虹回路の塊(6個くらいの空虹回路をボール状にまとめたもの)を取り出して頭上で振ってみせます。まさに「流れ星」。まさに「ひかり」。
 なお、このあたりの満島さんの動きは、ダンサーの鈴木美奈子さんが提案や演出のアドバイスをしておられたそうです。


 大阪城ホールでの演奏後、「暑い!」とレコジャケ・ジャケットを脱ぐ小沢氏の姿に客席から「フゥー!」と歓声が上がるも、小沢氏は「今の(歓声は)なんで?」と困惑していました。

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19.春にして君を想う


 4日とも「この曲は、指揮者の服部隆之がエレピを演奏します」と述べてから、「春にして君を想う」。武道館では「盟友」とも呼んでいたはずです。
 間奏で静かなタンゴ(?)を踊る小沢氏&満島さんの姿が楽しげでした。

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20.ドアをノックするのは誰だ?

https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%83%89%E3%82%A2%E3%82%92%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AF%E8%AA%B0%E3%81%A0/1319139302?i=1319139926&uo=4&at=1000lsTG
 演奏前に、「この曲は元々『ノーザン2』というタイトルで、『ノーザン1』は『ラブリー』になったんですけど」と解説。ちょうど『LIFE』の頃に小沢氏が「ノーザン川崎」というフレーズを好んで使っていたようなので、その流れでつけた仮題なのかも。
 アカペラで「一緒に導かれたいんだ*13 いかないでいつまでだってそばにいて!」と歌ってから、爆音のファンク交響楽でドアノック開始。
 初日、客席でドアノックダンスを軽快に踊っている人が意外に少なかったのがちょっとショックでした。若者のドアノックダンス離れが深刻化しているんでしょうか。啓蒙活動が必要なんでしょうか。一方、2日目の大阪城ホールではわりとドアノックダンサー率(?)が高かったように思います。
 
 ところで、アンコールの曲はみんな「春」絡みでしたね。「にして君を想う」はもとより、「流星ビバップ」は「の土を踏む」だし、「ドアノック」は「風薫るの夜」だし、それに次の曲の歌詞にも、もちろん「春」が。

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21.アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)(二)

 今回のライブタイトル「春の空気に虹をかけ」は、「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」の歌詞です。だからライブ自体も「アルペジオ」に始まり「アルペジオ」に終わりました。
 オープニングと同様、イントロのオルガンの音がずーーーっと伸びてゆき、「春! 空! 虹、春、空、虹!」のカウントから、「アルペジオ」のインストゥルメンタル。
 小沢氏が「36人編成ファンク交響楽ということは、36人のメンバー紹介があるということです」「メンバーの名前が呼ばれたらみんなで『オッオーッオッ!』と讃えてください』と説明し、メンバー全員の名前を満島さんが紹介していきます。

「土方隆行」\オッオーッオッ!/
「中村キタロー」\オッオーッオッ!/
「白根佳尚」\オッオーッオッ!/

みたいな感じ。文章だと雰囲気が伝わらないかもしれませんが、これ、実際に声を合わせて36回以上も\オッオーッオッ!/って言うと妙に楽しいので、みなさん恥ずかしがらずぜひ大声で叫びましょう。2日目は「オッオーッオッ!」の説明がなかったですが(おそらく単純な言い忘れ)、それでもけっこう多くの人がオッオーッオッ! してた気がします。
 メンバー紹介、最後に小沢健二氏の名前を呼ぶときだけは以下のように疑問形で煽るように繰り返してましたが、このときの満島さんのいたずらっぽい笑顔が最高です。

「小沢健二?」\オッオーッオッ!/
「小沢健二?」\オッオーッオッ!/
「小沢健二!」\オッオーッオッ!/
「小沢健二!!」\オッオーッオッ!/

22.アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)(三)

 メンバー紹介を終えて、もう1回ボーカル入りの「アルペジオ」。今回の「アルペジオ」、「ひふみよ」における「流星ビバップ」みたいな位置付けですね。出だしからではなく、「この頃は 目が見えないから」のあたりから歌い出していたと思います。
 最後のサビの直前、小沢氏がギターのカポ*14の位置をずらして変調。語りは小沢氏1人で力強く、エモーショナルに。二階堂ふみさん&吉沢亮さんの軽快な語りも良いですが、今回の小沢氏自身による語りはとにかくかっこよかった! 同じ楽曲に乗せた同じフレーズでも、こんなに大きく印象が変わるとは。
 
 演奏後。
 小沢氏が客席に「僕のライブに初めて来た人?」と問いかけると、1~2割くらいの人が挙手していました。あとここで、「こんなに大きな会場でやるのは久しぶりで緊張した」みたいな発言もあった気がします。
 2日目は「本当にありがとう。(観客の)歌、めっちゃ聞こえました」と挨拶。「初めて来た人?」の質問には、4~5割くらい挙手していた気がします。びっくりするくらい多かった。客席から「はーい!」と幼い声が聞こえて、小沢氏が「それ3歳とかでしょ!」と笑いながらツッコミ。
 初めての人たちに「日常や生活に戻るため、いつもカウントダウンで終わるんです」と説明してから、最後のカウントダウンへ。
 
 最終日ではここの話がもうちょっと長めでした。
 「2016年に『魔法的』というツアーをZeppとかでやったんですけど、すぐに(チケットが)完売しちゃって。人に『良い意味でユートピアみたいだね』と言われたんだけど、『もうユートピアじゃないほうがいい、もっとめちゃくちゃなほうがいい』と思って」「でもこれだけ(の規模の会場)でもまだユートピア!」「みんな生活に帰って、マスのなかに呑みこまれていくんですよ」と述べてから、「満島さん、本当になにも言わなくていいんですか?」。この言葉を受けて、「私は『オザケン世代』じゃないんで(会場笑い)……昨日お客さんで来たBoseさんとかに『俺のほうがオザケン知ってるよ! 俺も若い女の子になってそこに立ちたかった!』って言われて。生玉子とか投げられるかと思った(笑)」と、今回のツアーで満島さんが初めてMCを喋りました。

 大阪や武道館ではカウントダウン直前に「やだー!」といった声が次々と上がったので、「大丈夫なんです」と呼びかけてからカウントダウンに入りました。
 
5
 
4
 
3

(客席から「やだー」の声)
 
2
(小沢氏が「大丈夫」とこたえる)
 
1
 

「生活に帰ろう」
 
 暗転。
 薄暗がりの中、メンバーがステージを去って行くのが見えました。
 
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(ダブルアンコール)

 ……が。最終日だけは、様子が違いました。
 会場全体が暗転しても、薄明かりのなかでメンバーがステージから降りていないように見える。
 まだ生活に帰りたくない――と、観客の多くは拍手を止めずに見守ります。

23.フクロウの声が聞こえる(二)

 ジャッジャッジャッジャッ……と、暗闇の中で響くギターリフ。
 拍手が止み、驚きと喜びの混じった歓声が上がります。ダブルアンコールだ!
 照明が点き、ライブ中盤と同じアレンジで、「フクロウの声が聞こえる」をもう1回フルで演奏。
 合間の「もう1回!」「Uh, uh」の声は力強く、演者も観客も、最後の最後の1曲を全身全霊で感じていたと思います。
 
 演奏が終わり、「っていう音楽がある日常なんですけど!」「もう1回やりたくて(笑)」とイタズラっぽく言い放って大歓声。なんなんでしょうか、このテヘペロ感*15。それから、熱のこもった口調で「さっき『オザケン世代』って言葉があったけど、『世代』って広告によってねつ造されたものだと思ってるので、全然信じない! 『フクロウ』がわかる人が僕のオーディエンスです!」と断言し、また拍手喝采を浴びていました。この「オザケン世代」の件、ご本人がライブ終了後すぐに補足の説明をアップされていました。間違いなくライブ終演直後のドタバタしているタイミングに、(あらかじめ用意していた文章ではなく)間違いなくその場ですぐに書いた長文をアップする、このスピード感に驚きました。しかもなかなかの長文。現在、公式サイト「ひふみよ」のトップページに掲載されていますが、以下にも引用しておきます。

えーと、ライブの熱の中で言ったことが変に響いたそうなので、書きます。「世代は広告がねつ造するもの」みたいな話は、「魔法的モノローグ」の「広告4部作」などで考え、書いてきたことです。興味ある方は、読んでみてください。そして、自分のオーディエンスもよく「オザケン世代」と括られるのですが、今回のツアーで客席を見ているといろんな人がいて、「オザケン世代なんてないよなぁ、フクロウがわかるかわからないかだけだよなー」と思いながら、ツアーしていました。なので、満島さんの冗談をうけて、「オザケン世代なんて信じてません。フクロウがわかる人が僕のオーディエンスです」と、言いました。発言自体は本心ですが、満島さんをディスってるみたいに聞こえたという声があり、そんなつもりは全くないことをお伝えしたく、書いています。満島さんとは過去半年近く、一緒に魂をけずって、長い話をし、お互いに尊敬を持って、作業をしてきました。なので、いつもどおりただ彼女の言葉をうけたのですが、変に響いていたら、すみません。だし、オザケン世代って言葉、自分でも軽口で使います 笑。でも、ああいう本気の場では、本気で長く考えていることが、本気で出てしまいます。ということを、ひかりさんは書かなくていいよと言っていましたが、書いておきます!(今は、ライブ終わって、すぐです。これから打ち上げ。)
https://hihumiyo.net

 この「オザケン世代」の話、満島さんと同年代の自分にはいろいろ感じるところがありました。ので、あとで詳しく書きます。
 このMCのあと、もう1回、正真正銘最後のカウントダウンへ。今回は誰も「やだー」と言わず、みんな声を揃えて、
 
5
 
4
 
3
 
2
 
1
 
「生活に帰ろう」

 
 暗転。

音声トーク

 初日は、ライブ前日に予告されていたとおり、終演後、ナタリーによる音声トークの配信がありました。
 この音声トーク、何時から配信されるのかさっぱりわからなかったのですが、終演直後に楽屋からすぐ配信開始してました。あまりに突然だったので僕も途中から(ロッカーの荷物を取りに行ったりしつつ)聴いていたんですが、どたばたしてたのであまりちゃんと耳を傾けられず。僕が覚えているのは「蛍光Teeはステージからよく見える」「満島ひかりさんの視力は2.0なので2階席までよく見えた」といった話題くらいです。
 配信終了後も12時間くらいは聞き返せたようですが、まさかそんなすぐに消えてしまうとは知らず、結局聴けずじまいでした……。残念。

 2日目以降の終演後は音声配信なし。初日だけのスペシャルな企画だったんでしょうか。
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【8】個人的な感想

 最後に、いくつか感想というか雑感的なものをいくつか。

1.「長さの意味」

 初日で個人的に一番グッと来たのは、36人編成ファンク交響楽による「フクロウの声が聞こえる」でした。
 CD版でカットされていた歌詞が今回ふたたび歌われていたのは先に書いたとおり。CD版は5分以内(4分59秒)に濃縮されてましたが、元々の「魔法的」バージョンは6,7分くらいあったと思います。今回もやっぱり6,7分くらいあったはず。
 そういえば、今回のグッズ紹介ページでこんなコメントが書かれていました。
「いろんな場面で、長さの意味ってある、と思う昨今です。」
 最初は6,7分くらいあった曲を、シングルで4分59秒に縮めた意味。それをまた6,7分に伸ばした意味。その「長さの意味」を想像すると楽しいです。
 たとえば、小沢氏のライブではいつも「もう1回!」と繰り返す部分が多いですよね。今回もいろんな曲で「もう1回!」が炸裂しました。同じフレーズを何度も繰り返して曲の長さがどんどん伸びていくほど高揚感も増してゆき、「日常」や「生活」とはかけ離れた境地へ行ってしまう。だからこそ、その対極にある「日常」のお供のシングル曲は短めにまとめてるのでは――というのが個人的な仮説。「フクロウ」に限らず、最近のシングル曲はみんな短めですよね。
 

2.「幻?」

 今回のセットリスト、もちろん最高の曲目が揃ってるんですが、意外にも「天使たちのシーン」とか「さよならなんて云えないよ」とか「今夜はブギーバック」といった定番曲が入ってないんですよね。まあ、尺が限られている以上、新曲が加わった分だけ定番曲の枠が減ってしまうのは仕方ないと思います。
 むしろ心配なのは、2016年の「魔法的」で初披露されたまま、未だにリリースされていない新曲の数々の今後です。実は今回、終演して真っ先に「ああ、魔法的の曲はやらなかったか……」とちょっと残念に思っちゃいました。
 「涙は透明な血なのか?(サメが来ないうちに)」も「飛行する君と僕のために」も「超越者たち」も「その時、愛」も、それに(魔法的の曲ではないけど)「東京の街が奏でる」も、このまま「甘夏組曲」*16のような幻の曲になっちゃうんじゃないか、って不安があるのです。
 「飛行する君と僕のために」はフジロックでやったときのホーンアレンジがめちゃくちゃかっこよかったし、「超越者たち」とかもストリングスが合いそうだし、みんな今回の36人編成ファンク交響楽で演奏しても絶対映えると思うんだけどなー……。今後のライブやレコーディングに期待したいです。
 

3.ステージと演出について(2018年5月7日追記)

 今回のステージ演出についても書き留めておきます。
 まず、近年の大規模ライブ(ひふみよ*17、東京の街が奏でる*18、魔法的*19、フジロック*20)ではスクリーンが効果的に使われていましたが、今回はスクリーンの演出が一切なかったです。シンガロングの部分が多いので、今回もフジロックのように歌詞を映しまくる手もあったと思うのですが。「フクロウの声が聞こえる」の短篇映像で「2年間は子どもにはスクリーン(液晶画面)を見せてはいけない」って話があったので、(子ども連れ歓迎を謳っている)今回はあえてスクリーンを使わなかったのかな、って気もします。
 
 逆に新しい趣向だったのが、サンキャッチャーやシャボン玉の使い方。「光」を用いた演出が多かった気がします。サンキャッチャー、角度によっては虹色が見えてすごく綺麗でした。
 それと、これは演出と言っていいのかわかりませんが、魔法的電子回路はもう「魔法的」ツアー以来ずっと販売されていますね。手元にいくつも持っている人も多いでしょう。消灯したときの客席の様子がとっても綺麗でした。大箱で映えますね。今回の「空虹回路」でカラーバリエーション的には行くところまで行った気がしますが、今後も電子回路の販売はあるのでしょうか。
 
 武道館(北の丸アンフィシアター)は他の会場と異なり、ステージを客席が取り囲むような会場レイアウトになっていました。とくに北側はステージの真後ろにあたる位置で、そこで観た人によればいろいろと貴重なものが観られたようです。服部隆之さんの指揮を真正面(演奏者視点)から拝めたり、ところどころで小沢氏や満島さんが振り返ってくれたり、小沢氏の足元にあるプロンプター(いろゆるカンペを映すモニター)の文字までくっきり読めたり。聞いた話だと、プロンプターには歌詞だけじゃなくてかなり細かい演出上の指示が出ていたそうですよ。
 
 あと、千秋楽の武道館公演では、映像撮影のカメラクルーが入っていました。ざっと数えた限り、ステージサイドや客席後方などに6名以上はいたと思います。
 2016年の「言葉は都市を変えてゆく」金沢公演FUJI ROCK FESTIVAL'17のPYRAMID GARDENでのステージ「夏休み、我らが社会の偉大なる時計」などでは、タケイグッドマン氏による(個人的な?)記録用カメラのみ確認できましたが、今回はかなり本格的な撮影体制です。
 とはいえ、これまでのライブでも撮影されていたのに日の目を見ていない映像は山ほどあるはずなので*21、あまり期待しすぎてもいけません。今後の活動ともども、気長に待ちましょう。
 

4. 3つの会場

 今回、すべての会場ですべての公演を観ましたが、どの会場にもそれぞれの良さがありました。
 まず、東京国際フォーラム。物販まわりの装飾が一番凝っていました。音響的にも最も優れている会場……だと思うのですが、自分の席が音響的に良くなかったのか、それとも初日の高揚感で僕自身おかしくなっていたのか、あまり音響的なメリットは実感できなかったです。
 続く大阪城ホール。初めて行きましたが、大阪城公園(JO-TERRACE OSAKA)が素敵でした。ライブ当日は小沢曲を爆音で流しているお店も多かったです。天気が良く、散歩している人とライブの開場を待つ人とが入り交じっていてすごく良い雰囲気。レジャーシートを敷いて前祝い(?)している人たちの席に僕もお邪魔しました。会場のスケールはどでかいけど、アリーナの前方は全会場のなかでも一番ステージに近かったのでは? Zeppあたりで観るのと同じくらいの距離感だった気がします。
 そして北の丸アンフィシアター(日本武道館)。まず、外から武道館へ向かっていく道のりが良いですよね。九段下駅を出て、坂道を登って、門をくぐって、北の丸公園の中を進んでゆく。江戸時代の趣を残した部分がたくさんあるし*22、武道館の周りのお店は「昭和!」って感じの佇まいのものが多い。このあたり、最新鋭のオシャレスポットとなっている大阪城公園とは好対照です。門をくぐった先、俗世とは隔離された場所に、江戸や昭和がごちゃごちゃになっている。しかも、肝心の武道館の入り口にかかっている看板のデザインがコレですよ。もう、異界っぷりが半端ない。

 館内は、(城ホールへ行った直後だけに)すごくコンパクトにギュッと詰まっているように感じました。スタンド席がステージやアリーナを円く囲むので、会場内のどの位置のどの角度からでも、たくさんの人が楽しく歌い踊り光っている様子が見える。その光景がすごく小沢健二のライブにぴったりだなと。武道館で小沢氏のライブを観るのは初めてだけど、「武道館こそが一番のホームグラウンドなのでは」と思いながら観て、歌い、踊り、はしゃいでいました。
 

5.「オザケン世代」について

(ここの文章は、ステージ上の皆さまに寄せた感想メールの文章を一部抜粋したものです)
 最終日の「オザケン世代」の話。
 満島さんと同年代(かつ熱心な小沢さんのオーディエンス)の身としては、満島さんが「オザケン世代じゃないので……」と恐縮する気持ちも、小沢さんが「世代なんて信じてません」と否定する気持ちも、どちらもめちゃくちゃ共感できました。
 
 僕は90年代にリアルタイムで小沢さんの音楽を聴いておらず、ここ10年ちょっとで後追いのファンになったので「フリッパーズの頃からライブを観てる」「武道館で小沢くんを観るのは『VILLAGE』以来」といった先輩方には「こんな若造がしゃしゃり出てすみません……」とどこか引け目みたいなものを感じています。
 
 でも、「オザケン世代」じゃないファンもいっぱいいるんだな、と実感する場面も多いのです。
 
 ちょっと話が逸れちゃいますが――
 僕は今回の小沢さんの武道館公演のあと、5月2日と3日の両日の深夜にアフターイベントを開催しました。
 2日間で100名以上の人に集まっていただけたのですが、そこでもほんとうに「世代」なんて関係ないんだな、って実感することしきりでした。
 最年少はたぶん、19歳の男子と女子。
 最年長は……おそれおおくて具体的な年齢を伺えなかったですが、おそらく60代のお方。
 このイベントの予約を募るときに「小沢さんのファンになったきっかけは?」とアンケートをとったのですが、その回答も人それぞれで、めっちゃくちゃ面白かったです。
 
 ――で、このアンケート結果もそうですし、ライブやイベントの会場でいろんな人に話を聞いてみても、
 「オザケン世代」じゃない人が、いろんなきっかけでファンになっているんですよね。
 個人的な最近の経験でいうと、(小沢さんの音楽をほとんど聴いたことのない)友人と2人でカラオケに行ったときに僕が「フクロウの声が聞こえる」を歌ったら、「なんてすごい曲なんだ!」と(逆に僕がびっくりするくらい)感動されました。
 「本当の心は本当の心へと届く」ってやつでしょうか。
 
 とにかく、そういう「オザケン世代じゃない人」が多いからこそ、最終日の武道館で「オザケン世代なんて信じてません」の言葉に大歓声が上がったのだろうと思います。
 
 単なる「同窓会」みたいなコンサートじゃなくて。
 長年ずっと聴いている人たちから、今回初めて観るような若い人(親御さんに連れられた幼子も含む)まで、ものすごーく幅広い年代・性別の人たちが集まって、小沢さんの最新の音楽で、歌い、踊り、爆発する。
 だから、満島さんや西村さんのような才気溢れる同年代の人たちがステージに立っているのも、(勝手ながら)すごく誇らしいです。
 
 「フクロウの声が聞こえる」みたいな音楽がある日常を過ごしつつ、また、大勢で一斉に爆発できる機会が訪れるのを心待ちにしております(できれば早めに。それと、日常を彩る録音作品もできればもっと聴きたいです……)。
 

おわりに

(4月24日、初日分のレポートを書き終えた時点でのあとがき)
 以上、さらっと軽くレポートするつもりでしたが、いざ書いてみたら例によって大ボリュームになってしまいました。毎度のことですね。でも、まだまだ全然書き足りない気がしてます。
 
 ライブ終盤、小沢氏が「あと2公演は来てください」と(恒例の)無茶振りをして客席から笑いが起きていましたが、たしかに今回のライブは会場もバンドもスケールが大きすぎる。1回きりで味わいつくすなんて到底無理です。
 ライブが終わってからネット上でいろんな人の感想を目にしてますが、「うわー、こんなの気づかなかった!」と驚く部分がたくさんありました。ちょっとした演奏のアレンジとか、演出とか、その他いろいろ。
 なんだかんだで僕は今回、4公演ともすべて参加する予定です。なので、これから見ていくうちに他にもまだまだ書きたいことが増えてくるだろうと思います。2回目、3回目でようやく気づくような部分もあるでしょう。というわけで、本稿は今後も随時加筆修正していくつもりです。

(4月30日追記)
 2回目、大阪城ホールで観ての感想は、「(体感時間も実時間も)早い! あっという間!」の一言に尽きます。2日目のほうが初日よりも開演が1時間早かったので「開演を早める分、追加で何曲かやるのでは?」とうっすら期待してたんですが、そんなことはなく。早々に終演するのはご家族連れや遠方のかたに優しいですが、36人編成ファンク交響楽による演奏をもっともっともっともっと聴きたい! というのが正直なところ。残り2公演、時間にしてたったの4時間ちょっとですよ。あっという間だ……。武道館でも悔いのないように楽しみ尽くしたいと思います。
 それと、今回は天気(快晴!)と日程(連休ど真ん中!)に恵まれていたので、開演前に大阪城公園でいろんな人とお会いできて最高でした。終演後も大阪でしか会えないような方々と打ち上げできましたし、ライブ中の客席の熱量も高いし、大阪遠征は超楽しいですね! また大阪遠征できる機会が早々に訪れることを願っております。

(5月5日追記)
 武道館2デイズの内容まで追記したので、おそらくこれで本ライブレポートは完成です。後から思い出したり、個人的な感想を思いつきそうな箇所もあるので、まだもうちょっとだけ追記することになるでしょうが。とりあえず、これからステージ上の皆さまに向けた感想文を書く作業に移ります。アドレスが煙を立てて消滅する前に間に合わせるだべえー。
 
(5月7日追記)
 ステージ上の皆さま宛ての感想文も無事に送り終えたので、その内容もこちらに転載&ついでに細々と加筆修正。今度こそ、本ライブレポートは完成だと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!

 
 あと、こちらは当ブログにおける小沢健二氏関連の記事一覧です。過去のライブレポートとか書き起こしとかいろいろありますのでよければどうぞ。

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*1:Little Bird Nationのメンバーで、小沢氏とは97~98年頃にJ-WAVEで「a radio show named "SATURDAY"」のパーソナリティーをともに務めていた仲

*2:聞いた話だとどうやら原稿を読んでいたようです

*3:『Tokyo, Music & Us 2017-2018』第1回で満島ひかりさんとセッションし、のちにシングル『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』のカップリングで収録

*4:他のメンバーだったかも?

*5:このあたり、さらに話を膨らませようと考えながら喋っている様子でした

*6:Uhは2回のこともあり

*7:ちなみにこちらのお母さん、ちょっとお話ししたところ、どうやら僕のTwitterのフォロワーの方だったそうです。勝手にネタにしちゃってすいません……

*8:この用語の使い方も構成の捉え方も、正しいかどうかけっこう怪しいです……詳しい方いればご教示ください

*9:こちらhttps://ozkn.net/post/35707059976/stripped-the-rolling-stones-1 によれば、「戦場のボーイズ・ライフ」のレコーディング中、小沢氏がおさえていたEMIのスタジオを一時的にローリング・ストーンズに貸したのが1995年3月3~5日

*10:初日はこの言葉をちゃんと聞き取れなかったですが、2日目以降は毎回「アンコール呼んでください」と聞こえたので間違いなさそうです。コメントくださった方々、ありがとうございました!

*11:もしかしたら違う箇所だったかも

*12:『指さえも/ダイスを転がせ』収録の球体バンド版の「1! 2! 1, 2, 3, 4!」や、「ひふみよ」ツアーの「ひ! ふ! ひ、ふ、み、よ!」と同じ調子

*13:原曲の「Hip drop hip little drop my honey guy」のフレーズの言い換え

*14:カポタスト。ギターのネックに取りつけて変調させる道具

*15:フジテレビ「Love music」に小沢氏が出演したときにceroが「テヘペロ感」と形容

*16:1996年のライブ「レビュー'96」で初披露されたきり、お蔵入りになっている曲

*17:世界各地で撮ったと思われる映像がいろいろと。「夢が夢なら」の花火の映像が印象に残ってます

*18:「シャドウ・ギャング」による影絵演出。観客が起立・着席する箇所も影絵で指示。終盤の「愛し愛されて生きるのさ」では当時の小沢氏の映像が三面スクリーンで映ったはず

*19:新曲の歌詞。あとは「天を縫い合わす飛行機」

*20:通常はステージの模様を中継する巨大スクリーンに歌詞だけを映す贅沢(?)っぷり

*21:少なくとも「ひふみよ」「東京の街が奏でる」の映像は公式イベントで部分的に上映されています

*22:たぶん後年に復元された部分も多いんでしょうが……