世界79ヶ国64,606人の #電気グルーヴ署名 を提出した長い長い一日/署名活動「電気グルーヴの音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を撤回してください」の話【3】

 世界79ヶ国64,606名の方々に、心から感謝!
 来る4月15日、電気グルーヴの作品回収等に反対する署名を提出するため、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ本社へ行ってまいりました。
 
 いろいろありましたが、結論からいうと、今の段階でソニー側から出せる最大限の回答を(一応は)いただけたのでは――と思っています。
 記者会見の模様は大手メディアの多くでも紹介されましたし、なにより、電気グルーヴの石野卓球さんも今回の署名提出を受けて正直な内情を明かしてくださいました
 
 目標に向けて、ある程度は前進できたのでしょう。
 ただ、これからも引き続きやれること(≒やるべきこと)はまだまだ考えられるので、可能な限りアクションを続けてゆくつもりです(詳しくは後述)。
  すでにChange.orgのキャンペーンページのほうでもお伝えしていますが、あらためて、個人的な目線から4月15日のできごとを時系列順に振り返ってみます。
 
 過去2回はこちら。

(提出前夜)都内某所で署名・コメントを印刷

 前日夜、都内某所にて署名およびコメントの印刷・製本をおこないました。
 量が量だけに、ただ印刷するだけでも大変ですし、それを提出用に(穴を開けて紐で括って)製本するのも、人手と作業スペースが必要になります。
 ここでサポートを買って出てくださった方々に心から感謝! 発起人の2人だけではとてもとても無理でした。
 
 また、署名の表紙&記者会見等で掲げたパネルはプロのデザイナーさんの作です。最高! 「海外からの署名が多かったんで、国旗を並べたりしたら面白いんじゃないですか?」ってアイデアから、とてつもなく良い形にしていただけました。
(なお、当然ながら、皆さまからお預かりしている個人情報に関しては細心の注意を払って作業しております)

13:00~ 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズへ署名提出

 賛同人の宮台真司さん、巻上公一さん、ダースレイダーさんとともに、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズの本社を訪問。世界79ヶ国・64,606名の皆さまの署名とコメントを届けてまいりました。
 事前にアポイントをとっていたためレーベルの担当者の方々にご対応いただけたのですが、名刺交換の機会がなく、先方の正確なお名前・肩書き等は不明です。
 署名のお渡しのみ(時間にして正味3分ほど)の面会だったので、会話といえるほどのやり取りはできておりません。質問の機会もいただけませんでした。
 
 なお、ソニー・ミュージックレーベルズ社内での撮影・取材ができなかったため、こういうニュースでよく見るような「発起人が署名を差し出して会社側が受け取る」シーンは我々にもメディアの方々にも撮れておりません。
 各メディアの報道では、提出前の署名用紙の山や、ソニー・ミュージックレーベルズの社屋前で運んでいる様子が映されていますね。
 
 ――正直、このときにソニー・ミュージックレーベルズの方々と少しでもお話をしたかったです。
 もちろんこの場で「回収等を撤回します」と即答いただけるはずがないのはわかっています。訊かれたところで回答できないことも多いのでしょう。ただ、せめて会話はさせてほしかった。
 我々はけっしてソニー・ミュージックレーベルズの方々を敵視しているわけではなく、「作品の回収等にはこれだけの問題があります。他の選択肢をとるべきでは?」と提案のために向かいました。
 後の卓球さんのツイートでも触れられていますが、ソニー側にも電気グルーヴのことを応援している人が多くおられるはずです。そうした方々に唾を吐きかけるつもりなど毛頭無く、むしろ応援の意を伝えたかった。それだけに、残念な気持ちでソニー・ミュージックレーベルズを後にしました。

14:30~ 文部科学省記者クラブ会見室にて記者会見


 文部科学省記者クラブ会見室にて、宮台真司さん、巻上公一さん、ダースレイダーさん、永田夏来さん、かがりはるきの5名で記者会見をおこないました。
 
 会見では、これまでの経緯や作品回収等に反対する理由、そして株式会社ソニー・ミュージックレーベルズへ署名を提出したときの模様をお伝えしました。
 
 また、ソニー・ミュージックレーベルズ訪問時に先方から何も回答を得られていないため、
「6月1日を期限として、ソニー・ミュージックレーベルズから回答を得られなかった場合は次のアクションを起こす」旨を会見のなかで明らかにしております。
 
 会見の一部始終は以下からご覧いただけます。

 
 また、全文書き起こしも以下のサイトで公開されています。

余談1


 省庁での記者会見なんてもちろん初めての経験だったんですが、
 
 文科省内に控え室が無いので直前まで近くの喫茶店で待機⇒「会見場空いたよ」と連絡をいただいて文科省入り⇒エレベーター乗って廊下歩いて案内されるままに入室⇒え、ここ、テレビでお馴染みの「あの」空間(取材陣の皆さまも完全スタンバイ済み)じゃん!?
 
 って流れで超シームレスに会見突入したので焦りました。リハーサル等も無し。入室&着席するなり記者のかたから「用意ができたら始めていただいて大丈夫ですよ」と言われてすぐスタートする仕組みでした。
 でもまあ、省庁で普段会見するような方々は分刻みで行動されているでしょうから、これくらいシームレスに会見できないといけないのかも(他の省庁とかは違うシステムかもしれませんが)。
 

余談2

 記者会見の質疑応答は少し警戒していたんですが、こちらが身構えるような質問はほぼ無かったです。また、中継の映像から伝わったかどうかわかりませんが、会見場の空気もわりと和やかでした。
 で、会見後に取材陣の方々と名刺交換したんですが、お話ししてみると「電気グルーヴ、私も好きなんです」と仰るかたの多いこと多いこと! なるほど道理で和やか。会見中、ちょうど我々からよく見える位置でメモをとっておられるかたのPCに電気のステッカー(『DENKI GROOVE THE MOVIE?』のときの赤鬼卓球)が貼ってあるのが見えて「おおっ」と思っていたんですが、その持ち主も、誰もが知っている超大手メディアの記者さんでした。
 

余談3

 そんな和やかな空気のなか、質疑のなかで個人的に一番身構えたのがフジテレビの記者のかたからの質問でした。
 質問の内容はともかく、「フジテレビの」と言われた時点で「来たな!」と心の中で臨戦態勢をとったのは僕だけじゃなかったはず。
 そんなわけで思わずこんな逆質問をしてしまいました。


 記者さんが『バイキング』担当でなかったのはおそらく事実でしょうが、署名提出や記者会見の模様は後日『バイキング』で思いっきり使われました(ただし↑の逆質問はスルー)。その話は後述。

17:00~ ニコニコ生放送『ピエール瀧逮捕から考える、アーティストの罪とユーザーの権利』出演


 ニコニコ生放送の特別番組『ピエール瀧逮捕から考える、アーティストの罪とユーザーの権利』(司会:ジョー横溝さん)に、記者会見と同じメンバーで出演しました。
 
 番組は現在もタイムシフト視聴できます。

 月曜日の17~19時といった時間帯にもかかわらず、リアルタイムで1万人以上の方々にご覧いただけました。ニコニコ生放送の担当者の方によれば、この時間帯にこの視聴者数は記録的だそうです! ありがとうございます。
 
 こちらは宮台先生が記者会見以上に絶好調でした。こんな特等席(すぐ隣)で拝聴できるなんて……と不思議な気分で過ごした2時間(自分も出演者なのに)。
 視聴者数1万人以上にもかかわらずコメント数がその半分程度だった(つまり一言もコメントせずに観ていた人が圧倒的に多い)のは、やはり迂闊なことを書くと宮台先生にコテンパンにされそうで皆さん恐れをなしていたからでしょうか。
 
 なのであまり自分が喋る場面もなかったですが、前回も書いた「99年の槇原敬之さんの件が作品回収のはじまりと言われがちだが、97年にL'Arc~en~Cielの例もある」って話は言っておきたかったのでよかった。
 あと、逆に言いそびれてしまったこともありまして。ダースレイダーさんが「R.Kellyのスキャンダルを受けて #MuteRKelly のハッシュタグが流行した*1」というお話をされた際、「Spotifyに最近ミュート機能が付いたのもR.Kellyの件を受けての対応では?」って話をしたんですが、もう一歩踏み込んで「レコード会社側が配信サービスから音楽を引き上げる行為は、『聴く自由』だけじゃなく『聴かない自由』をもリスナーから奪ってる」と言うべきだったな……とあとで反省した次第です。
 
 ちょうどこの生放送中、ソニー・ミュージックレーベルズより、NHKのニュースを通じて以下のコメントが発表されました(他メディアにも同一の文面が載っているので、共通して同じコメントを回答しているものと思われます)。

電気グルーヴがたくさんのファンの方々に愛されていることを改めて認識しました。出荷停止などの措置については、今後の捜査や裁判の行方を見守りながら次の判断を検討していきたいと考えています
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190415/k10011884791000.html

 おそらく、これが現時点でソニー側から出せる最大限の回答なのでしょう。ただ、個人的には満足しておりません。理由は最後に述べます。

22:00~ TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』に永田さんが出演

 TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』のニュースコーナー「Daily News Session」に、署名提出のニュースの当事者として共同発起人の永田さんがゲスト出演されました。
 当該コーナーは以下から聴取できます。

 また後でも触れますが、この2日後の『Session-22』のオープニングトークでも、署名活動やそれを報じるメディアの姿(具体的には同日放送のフジテレビ『バイキング』)について荻上チキさんが語っておられます。こちらもぜひに。

00:24~ 石野卓球さんから、署名活動および作品の回収等に関してコメント

 この日の深夜、電気グルーヴの石野卓球さんより、Twitterにて今回の署名活動と作品の回収等についてコメントがありました。
 一連のツイートをぜひお読みください。


 以下、完全に個人的な話。
 『Session-22』の時点でもう帰宅してたし、前日の夜も遅かったので早めに床に就いたんですが、卓球さんのツイートで慌てて飛び起きました。
 「え!? 卓球さんが署名活動について真正面からコメントしておられる? このツイート間隔からしてかなり言葉を選んでいる気がするぞ?」と、半分混乱、半分寝ぼけ、みたいな状態で以下のツイートをしたところ――
 即座に卓球さんご本人から「んなわけねーだろ!捻くれ者」と返信*2が飛んできて更に混乱
 しかもその「捻くれ者!」ツイートがすぐ削除されたので更に更に混乱
 
 困惑しているうちにご本人から以下のツイートが立て続けに飛んできてホッとしました。
 ……が、当然ながらドキドキが止まず、疲れきっていたはずなのに眠気がぶっ飛んでしまい、結局就寝できたのは午前2時過ぎでした。長い1日だった!

メディアの反応

 今回、記者会見に多くの大手メディアの方々が取材に来られていたとおり、かなり大々的に報じられております(正直自分たちでもカバーしきれないレベル)。
 把握できた範囲でざっと載せます。
(※記事によっては、公開期間を過ぎてリンク切れになっている場合もあります)

テレビ局

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190415/0028414.html

https://www.fnn.jp/posts/00416201CX/201904151939_CX_CX

“ピエール瀧作品” 音楽聞く自由を求め署名6万超|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト(テレビ朝日)

TBSラジオ

 ピエール瀧さんと縁があり、今回の署名活動を各番組で早くから取り上げてくださっているTBSラジオ。署名提出の件も、先述の『荻上チキ・Session-22』以外の番組で扱われていました。
 
 『伊集院光とらじおと』では、伊集院光さんが「身内びいきと思われるので難しい」と前置きしつつコメント。

 『ACTION』では、今回の件と関係の深い宮藤官九郎さんが、ドラマ等とはまた別の話として音楽の自粛について語っておられました。

 もし荒川強啓さんがご存命なら『荒川強啓 デイ・キャッチ!』がまだ続いていれば、間違いなく強啓さんも触れてくださっただろうな……と思うと少し寂しいです。

ラジオ

 今回賛同人としてご同行くださったダースレイダーさんが、YBS『キックス!』に電話出演されています。

 ダースレイダーさんと親交の深い杉作J太郎さんも、RNB南海放送『痛快!杉作J太郎のどっきりナイト7』で本件に言及してくださってます。

フジテレビ『バイキング』

 また、先にも触れたように、フジテレビ『バイキング』の4月17日放送回でも署名活動の件が大々的に(なんと1時間以上も)扱われました。前々から瀧さんや卓球さん、それにDOMMUNEのことをさんざん悪し様に言ってきた(そして大炎上した)同番組だけに、0こちらは両腕をブンブン振り回しつつ構えていたんですが、蓋を開けてみたら全然大したことなかった。ただ、「悪くはない」けど、「良かった」とも言い難い。同日夜にこの件を取り上げてくださった荻上チキさんの言葉を借りるなら、論調はおとなしいものの、実に「不勉強」でした。
 ↓の記事でも発言が取り上げられてますが、ラサール石井さん(とホラン千秋さん)がこの日の『バイキング』の良心だったと思います。

今後の「アクション」について

 以上のとおり、署名提出の段階では何も回答が得られなかったものの、その日のうちにソニー・ミュージックレーベルズ側のコメントが発表されましたし、石野卓球さんからも、すぐには再販できず判決を待たざるを得ない事情をご説明いただきました。
 これは間違いなく、ご賛同くださった皆さまのおかげです。本当にありがとうございます!
 既に回収してしまったものを再度流通させるには相応の手続きが必要になると思われるので、まずは我々も裁判の行方を見守ってゆこうと思います。
 
 しかし、ソニー・ミュージックレーベルズのコメントには不満点もあります。現在もなお、同社(ひいてはソニーグループ)が電気グルーヴの作品を回収するに至った「理由」が説明されていないのです。
 今回の回収の理由を明確にするとともに、今後、電気グルーヴ以外のミュージシャンに関しても同様の事件が起きたときにレコード会社が「別の選択肢」を採れる(採りやすくなる)よう、ソニー・ミュージックレーベルズからのさらなる発表を(6/1の期限を目安に)待ちます。
 
 ――と、ともに、次なるアクションのことも検討中です。
 今回、12名のかたが「賛同人」を務めてくださいましたが、非公式に賛同してくださった著名人の方々も多くいらっしゃいます。また、64,606人もの方々に署名いただけたのは、この件が「電気グルーヴのファン」と「ソニー・ミュージックレーベルズ」の話に限らず、もっと根深く大きな問題に結びついているからだと思います。
 まだまだ我々にやれること、やるべきことは残っているはずです。
 
 4月11日以降にご賛同くださった方々の署名を提出する予定はございませんが、今後も本キャンペーンに関する活動は続けてまいりますし、何かしら賛同者の皆さまへお知らせしたり、あるいはご協力をお願いする場面もあるかと思います。
 引き続き、応援よろしくお願いいたします!

*1:関連ニュースはたとえばこちら http://bmr.jp/news/59053

*2:正確には引用ツイート