ラーメンズがYouTubeにコント全作をアップロード!
2017年1月1日、年明けとほぼ同時に、ラーメンズ・小林賢太郎さんの公式サイト「小林賢太郎のしごと」に以下のメッセージが掲載されました。
謹賀新年
さてさて、ラーメンズ全17公演のうち、100本のコントが映像ソフト化されているのですが、本日2017年1月1日、全部YouTubeにアップしました。
なお、これによる広告収入は、日本赤十字社を通じ、各地での災害の復興に役立てていただきます。
(略)
(出典:小林賢太郎のしごと「ラーメンズのコントをYouTubeにアップします」)
www.youtube.com
これまでラーメンズのコントはVHSやDVD、BDなどでソフト化されてきたものの、公式のネット配信等は存在せず、YouTube等への違法アップロードが横行していました。
DVDで全作を揃えている僕のような長年のファンとしては、違法アップロードされているのを目にするたびに「なんだかなあ」とモヤモヤを抱えていたのですが……公式にアップされていれば、もう心配はありません。
公式だから、ちゃんと公演単位でプレイリストがまとまっているし、画質も良好。この状況なら、わざわざ違法アップロードされているほうを観る人もいないでしょう。
広告収入の使い道も上のように明言されているので、既にDVDを持っているファンでも、今後はYouTubeで見返すことが多くなると思います。人に薦めるときも、以前はDVDを貸していたけど、今後はYouTubeでのURLを送るだけで良いですね。DVDが廃盤になったわけではないようなので、気に入った作品があればDVDを購入しても良いでしょう。
そんなわけで公式にアップロードされたのを記念して、ちょっとした説明をしつつ、個人的なオススメ公演・コントを紹介したいと思います。
アップロードされていないコントもある
本題の前に、重箱の隅をつつくような話をひとつ。お急ぎの方は先に本題のほうへどうぞ。
上に引用した小林さんのコメント「ラーメンズ全17公演のうち、100本のコントが映像ソフト化されている」というのはたしかに正しい。ですが、ラーメンズのコント映像が全てアップロードされたわけではないのです。
というのは、「鯨」(第9回公演・2001年6~7月)と「雀」(第10回公演・2001年12月~2002年1月公演)の間に「零の箱式」(2001年8~9月公演)が、「ALICE」(第15回公演・2005年1~4月)と「TEXT」(第16回公演・2007年2~4月)の間に「Rahmens presents Golden Balls Live」(2005年8~9月)がそれぞれ存在し、ソフト化されているためです。ただし、これらは上述の「全17公演」(いわゆる「本公演」)とは別カウントの「特別公演」。いずれもラーメンズの2人以外に出演者*1がいるため、もしかしたらそういった事情により、今回のアップロード対象から外れてしまったのかもしれません。
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初心者にオススメしたい公演とコント
では本題に入ります。
ラーメンズのコントは「公演」単位でソフト化されていて、ひとつの公演の中でテーマや繋がりがあったりします。要は、音楽でいえばアルバムのイメージです。
これまでラーメンズの名前や一部のコントは知っていても、公演単位で通して観たことはない……といった初心者は多いと思います。なのでこの機会にぜひ、2時間弱の時間を確保して、1本の公演を通しで観ていただきたい!
というわけで、初心者向けにオススメの公演とコントをいくつか紹介します。
ただ、ファンの間でもコントの好みはけっこう分かれるので、あくまで僕個人の意見ということでひとつ。
オススメの公演
まず公演ですが、個人的には「CHERRY BLOSSOM FRONT 345」を推します。
ラーメンズの作風は時期によって少しずつ変化しているのですが、「CHERRY~」は映像化されている第5~17回公演のうち第11回、つまりちょうど中央の位置です。ここから順番に観るにしても、逆に遡るにしても良いかなと。
「CHERRY~」のコントは良い具合にバラエティに富んでいて、しかもそれぞれの完成度が高いです。かの有名な「怪傑ギリジン」もありますし、シンプルな会話劇から、2人だけでより多くの人物を演じるトリッキーなものや、サスペンス、ナンセンス、いろいろな要素が詰まっています。
ここで一番ツボにはまったものを基点に、次に観るものを決めてみてはどうでしょうか。
たとえば「怪傑ギリジン」が好きなら、そのシリーズ作が観られる次作「ATOM」と次々作「CLASSIC」を順番に観てみたりとか。コント1本あたりの時間が短いものをテンポよく観たいなと思ったら、初期作品から順番に観ていくとか。
どんな順番で観ていくにしても、まずは取っかかりを得てからのほうが良いでしょう。
なお、個人的に大好きな公演は「ATOM」と「TEXT」ですが、これはもう各公演を何度も何度も通しで観た上でのお気に入りなので、初心者の方にはあまりアテにならないと思います。どちらもわりと観るのに集中力が要るタイプの公演ですね。コント1本あたりの時間も長めですし。
ベスト盤「Rahmens 0001 select」の再現プレイリスト
ちなみに、先ほど公演を音楽のアルバムに喩えましたが、ラーメンズは「ベスト盤」にあたるDVD「Rahmens 0001 select」も出しています。「home」から「雀」までのコントから、観客への人気投票を元に選出したものを収録。
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オススメのコント
続いて、コント単位でのオススメですが……これは本当に難しい!
好きなコントはいっぱいあるけれど、好きなもの=オススメしたいものではないので、大変悩ましいです。先に書いたとおり、人によって好みもまちまちです。
ジャンル単位でまとめたプレイリストの作成も考えましたが、「このコントはこういう内容」といった先入観をできるだけ抑えて観たほうが楽しめると思うので、これもまた難しい。
なので、「ほとんどラーメンズを観たことが無い人にも薦めやすいかな?」と思ったコントを、思いつくままに、いくつか列挙するだけにとどめておきます(上の「Rahmens 0001 select」と被っているものもあります)。比較的短めなものを中心に、ほとんど直感で選びました。異論は認めまくります。
(こんなにオススメを挙げておいてなんですが)人のオススメをあてにせず、お正月の時間のあるうちに、いろいろ手探りでご覧になってみても良いでしょう。ざっと動画一覧を見てみて、サムネイルが気になったものを再生してみるとか。タイトルで興味をもったものとか。
www.youtube.com
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さいごに
さいごに、今回こういった形で公式にコント動画がまとめてアップロードされた理由を考えてみます。
冒頭に紹介した小林さんのコメントに「この計画を実現させるにあたって、たくさんの方々にご理解とご協力をいただきました。関係者のみなさま、本当にありがとうございました。」とあることから、これは、小林さんの主導で実現したものだと思われます。
大きな理由の一つには、本稿の冒頭にも書いた、違法アップロードの横行があるでしょう。権利者ではない人にでたらめにアップロードされてしまうよりも、公式にちゃんとした形でアップロードすることで、観る人にとって観やすく、なおかつその広告収入も理想的な形で還元させられる。しかも、小林さん関連のコントはあくまで「公演」、つまりライブが本体なので、映像ソフトの旧作を「売る」ことにそこまでウエイトを置く必要もない*2。考え方は、ミュージシャンのMVをレコード会社自らYouTubeで公開する感覚に近いでしょうね。
ただ、小林さん関連の映像ソフトは他にもいろいろあります。「小林賢太郎プロデュース公演」*3とか、ソロ公演「Potsunen」とか、NHKで毎年放送されている「小林賢太郎テレビ」とか。これらは一切アップロードされていません。「まずはラーメンズを全部公開してから」ってことなのかもしれませんが、ちょっと後ろ向きに考えると「今後、ラーメンズの活動予定はないから全作アップロードしてもいいだろう」って理由もあるんじゃないか……? と勘ぐってしまうのです。
昨年2016年には、小林さんの新たなコントシリーズ「KAJALLA」(カジャラ)の第1回公演「大人たるもの」が上演されました。「大人たるもの」の出演者5名のなかには、小林賢太郎さんはもちろんのこと、片桐仁さんの姿もあり、ファンの間で*4「久しぶりにラーメンズの2人が揃った」と話題になりました。僕は実際に「大人たるもの」を観に行きましたが、やはり片桐さんは素晴らしい! 片桐さんのキャラクターを最大限に活かせるのは小林さんの作・演出だし、また逆に小林さんの作・演出でバツグンに光る役者は片桐さんだな、と再認識しました*5。
今後、「KAJALLA」が同じメンバーでシリーズ化していくのかどうか不明ですが、2009年の公演「TOWER」以来ずっとコンビでの活動が休止していただけに、「KAJALLA」での共演や過去作一挙アップロードのような動向に対して、ファンはどうしてもその理由を探りたくなってしまいます。
どうか、コント動画のアップロードが今後の展開に向けた「前向き」な施策であることを願いつつ……まずはコタツに入りながら、ゆっくりとコントを楽しみたいと思います。