コーネリアスの新作『Mellow Waves』のリリースパーティーが、7月11日と12日の2日連続で恵比寿・LIQUIDROOMにて開催されました。
国内でのコーネリアスの単独ライブは2008年3~4月の「ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW」以来、約9年ぶり*1。久々のライブのためか客席にも熱気が充満し、その熱気に応えるような素晴らしいライブでした。
これから夏フェスへの出演*2、秋のツアーも控えており、今年はコーネリアスのライブを楽しめる機会がたくさんありますが、まずは今回のリリースパーティーの模様を記録しておこうと思います。ちなみに僕が行ったのは2日目の7月12日(水)でしたが、両日ともセットリスト等は共通だったようです。
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なお、ステージ演出は今後のフェスや単独ツアーでも共通でしょうし、セットリストは夏フェスでもほぼ同じになるんじゃないかと思います。
なので、それらに行く予定の人にとってはネタバレになる可能性大です。
以下、注意してお読みください。
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セットリスト
「あれ、『Sensuous』の曲が多いような?」と、アルバム別に曲数をカウントしてみた結果がこちら。
『Fantasma』3曲
『POINT』3曲
『Sensuous』5曲
『Mellow Waves』4曲
やはり『Sensuous』多め。そして『Mellow Waves』のリリパのはずなのに新曲わりと少なめ。これはフェスを見据えたセットリストだからなのか、それとも新曲の映像制作やリハーサルが間に合っていないからなのか……。まあ、さすがに秋のツアーでは新曲をほぼ全部やるだろうと思っています。「あなたがいるなら」や「いつか/どこか」を演奏できているんだから、あとはもう、生演奏で再現不可能な曲なんてないでしょう(たぶん)。
メンバー
小山田圭吾:Vocal, E.Guitar, A.Guitar, Theremin
堀江博久:Keyboard, E.Guitar, Chorus
あらきゆうこ:Drums, Chorus
大野由美子:Minimoog, E.Bass, Chorus
※パート表記は正式なものではないので、間違ってる可能性があります
昨年にアメリカでおこなったツアー「CORNELIUS PERFORMS FANTASMA」の流れを汲むメンバー編成・ステージ演出ですね。このツアー、国内公演は関係者向けのゲネプロ(いわゆる通し稽古)しかおこなわれていませんが、USツアー自体の模様はスペースシャワーTVでドキュメンタリー「『CORNELIUS performing Fantasma USツアー』 密着ドキュメンタリー」が放映されています*3。このドキュメンタリーを観ておくと、今年のライブにつながる流れがよくわかります。BDとかでリリースしてほしいですね。
それにしてもライブを観て実感するのは、曲自体は小山田氏が美島氏とスタジオに篭もってDTMで作っているのに、いざライブとなるとめちゃくちゃフィジカルでストイックなこと。その極端なギャップが痛快だし、両方の振れ幅で最高のものを提供してのける小山田氏の凄さをあらためて実感しました。
あと、やっぱり小山田氏のギタリスト力(ぎたりすとぢから)、すごく磨きがかかってますよね? もちろんこれまでも凄かったと思うのだけど、やはり近年のギタリスト活動*4で得たものが大きいと思うのです。
同時開催の展示・トークショー
リリースパーティーに合わせて、2017年7月8日(土)~13日(木)にLIQUIDROOM 2Fのギャラリー・KATAにて「中林忠良×CORNELIUS Mellow Waves展」が開催されました。
中林忠良氏の、今回のアルバムやシングルのジャケットに用いられた作品や、最新の版画作品の展示・販売(!)がおこなわれていました。僕はここで、版画……ではなく、まだ持っていないコーネリアスの過去作を数点購入。具体的にはこちらとか。
アナログ盤、ラス1を入手 pic.twitter.com/QN9xJY12pH
— かがりはるき (@kgrhrk) 2017年7月12日
また、こちらでは以下のトークショーも開催されました。
7月10日(月) 20時~(予定)
「Sound & Recording Magazine presents」
篠崎賢太郎(サウンド&レコーディング・マガジン 編集長) × 美島豊明(サウンドクリエイター) × 高山徹(レコーディング・エンジニア)
7月11日(火) 18時~(予定)
「Cornelius × Idea Mellow Waves -コーネリアスの音楽とデザイン- 」 発刊記念
ばるぼら(アイデア編集)× 北山雅和(グラフィック・デザイナー)
7月12日(水) 18時~(予定)
「ALL ABOUT CORNELIUS コーネリアスのすべて」 発刊記念。
野田努(ele-king 編集長)×松村正人(編集人)×北沢夏音 (音楽ライター)
出典:中林忠良×CORNELIUS Mellow Waves展 / SCHEDULE / KATA
僕は12日のトークしか聞けませんでしたが、いずれも、その場でしか聞けないようなこぼれ話がたくさん聞けたようです。全日行きたかったー……。
Opening
今回のリリースパーティー、前半は瀧見憲司氏のDJで、後半にコーネリアスのライブ、という構成でした。具体的には19~20時の1時間がDJ、20時~21時5分頃までライブ本編、21時10~15分頃にアンコール。
DJブースは客席の下手側にあり、DJタイムの間はステージに幕が張られたまま、(おそらくVJによるリアルタイムの)映像が流れていました。映像は今回のコーネリアスのデザインに合わせたもので、黒一色の中に白い真円が浮かび、その周りに音をイメージさせるギザギザの波形が表われたり消えたり。
ただ、僕は19時半ごろまで先述のトークショーを拝聴していたので、DJタイムの終盤にフロア入りしました。LIQUIDROOMにはこれまで何度となく来ていますが、こんなに人がいっぱいに溢れていたのは初めてかも。
で、20時のライブタイムになると、DJは続いたまま、ステージのほうから音が聞こえてくる。あらき氏の力強いドラムに、歓声が上がります。スクリーンに映る波形が、楽器の音と完璧にシンクロし、一瞬だけステージに立つ4人のシルエットが浮かぶ。メッセージが順番に浮かび――筆記体の「Cornelius Mellow Waves」のロゴで大歓声。
「SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW」のオープニングはカラーバーをイメージさせる演出でしたが、今回はやはりモノクロ&波。このオープニングの演出は今後のツアーでも引き続き使われていくことでしょう。さすがです。
CORNELIUS - OPENING - BREEZIN' (ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW) 2
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1.いつか/どこか
『Mellow Waves』からのセカンドシングルカット曲。
Cornelius - 『いつか / どこか』" Sometime / Someplace "
MV監督は中村勇吾氏。ライブ用の映像はMVのバージョン違いで、MVでは小山田氏のシルエットが中心にいますが、ライブ映像のほうは小山田氏視点(?)で星々が目の前に流れてくる感じ。『Cornelius×Idea - Mellow Waves:コーネリアスの音楽とデザイン』のインタビューによれば、この曲や「あなたがいるなら」のMVは今後VR対応(!)を視野に入れているらしいので、こういう別アングルの映像も作れるようになってるのでしょう。
1曲目から小山田氏のギターソロが大炸裂。「バズリズム」でも久々のTV出演とともにスタジオライブ(しかも当て振りではなくちゃんと演奏)をしていましたが、とてもライブ映えする曲だと思います。今後、末永くコーネリアスのライブ定番曲になりそう。なってほしい。
2.Breezin'
『Sensuous』からのセカンドシングルカット曲。
CORNELIUS - BREEZIN'
メンバーに大野氏が加わったことのメリットのひとつに、女声コーラスの幅が広がったことが挙げられます。たとえばこの曲なら、サビ(?)の「そーよーかーぜー」の部分。↓は大野氏加入前の『ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW』での映像。
CORNELIUS - BREEZIN' (ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW)
3.Helix/Spiral
『Mellow Waves』収録曲。YKK AP「Module Window」のプロモーション映像に用いられた曲がオリジナル。
M.W. - Module Window | YKK AP
インテリアなので「Module Window」の映像はカラフルで生活感のある雰囲気ですが、ライブ映像は一転、「いつか/どこか」のようにモノクロ+記号的モチーフ。……と思いきや、途中から意外な演出が入って驚かされます。MV監督は(おそらく)中村勇吾氏。
4.Drop
『POINT』からのセカンドシングルカット曲。
Cornelius - Drop
ここからしばらく旧曲が続きます。
5.Point of View Point
『POINT』からのファーストシングルカット曲。
CORNELIUS - Point Of View Point
16年前の実写映像なので、画質に若干のレトロ感が漂っていますね。
6.Count Five or Six
『Fantasma』からのシングルカット(「Star Fruits Surf Rider」のカップリング)曲。
CORNELIUS - "Count Five Or Six" Live 8/6/2016 Los Angeles, CA
各メンバーのバックにLEDライトが設置されているのですが、これが曲に合わせて「1」「2」「3」「4」「5」「6」と切り替わる演出がかっこいい(言葉じゃ説明しづらいので、ぜひ実際にご覧あれ)。
個人的には、この曲のイントロやブレイクのところで歓声が上がったのが意外でした。コーネリアスの客席って、もうちょっとクールなイメージがあった(少なくとも11年前、『Sensuous』のツアーで自分が行った2公演はそうだった)ので。
7.I Hate Hate
『POINT』収録曲。
CORNELIUS - I Hate Hate
縦ノリ曲の2連発。さすがに腕を突き上げまくったりヘドバンしたりする人は少なかったですが、それでも熱気がすごかった。
8.Wataridori
『Sensuous』収録曲。
Cornelius - Wataridori
映像監督は住岡謙次氏(groovisions)。
今回のライブで唯一の完全インスト曲。
9.夢の中で
『Mellow Waves』収録曲。
Cornelius - 『夢の中で』 " In a Dream "
「Wataridori」から住岡氏が監督したMVつながり、ということでしょうか。今回のアルバムの中でも一番正統派(?)なボーカル曲だと思います。『Mellow Waves』は聴けば聴くほどいろんな曲が好きになるんですが、最近はこの「夢の中で」と「Mellow Yellow Feel」が特にお気に入りです。
10.Beep It
『Sensuous』収録曲。
CORNELIUS - Beep It
今年1月に六本木・SuperDeluxeにてsmallBIGs(小山田氏と大野氏のユニット)がドラムにhina(the SHAM)を迎え、この「Beep It」を披露していたのですが……これがまあ、実に素晴らしかった。3ピース編成で狭いハコだからこそ、小山田氏のギターの凄みが伝わってきた。
あれ以来、「Beep It」はライブ映えする曲だと(大変遅ればせながら)気付いたので、今回また聴けて嬉しかったです。
11.Fit Song
『Sensuous』収録曲。
CORNELIUS - Fit Song
ライブ後半にもなると、演奏と映像が綺麗にシンクロしていてもついつい当たり前のように感じてしまいますが、どう考えてもものすんごいことをやっているんですよね、この方々は。それを再確認させてくれるのがこの曲だと思います。ちょっとでもズレたらすぐわかってしまうけど、まるで隙を感じさせない。
CORNELIUS - FIT SONG (ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW)
12.Gum
『Sensuous』からのファーストシングルカット(「Music」のカップリング)曲。
CORNELIUS - GUM (ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW)
またもや縦ノリ曲。途中のブレイクが非常にパワフル。堀江氏がエレキギター、大野氏もエレキベースで、さっきまでとはうって変わってド直球のバンド編成に切り替わるのがこのメンバーの強みですね。
ところで『Mellow Waves』には、「Count Five or Six」「I Hate Hate」「Gum」の系統の曲はないんですよね。まあ、今作の雰囲気だとそういう曲の収まる部分が無いでしょうが……。
13.Star Fruits Surf Rider
『Fantasma』からのシングルカット曲。
Cornelius - Star Fruits Surf Rider (Video)
コーネリアスの代表曲、といって良いでしょう。イントロで「待ってました」とばかりに大歓声が上がりました。というか僕も上げました。大歓声を。
14.あなたがいるなら
『Mellow Waves』からのファーストシングルカット曲。
Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here"
「この曲をアルバムの1曲目に持ってくるなんて」といった意見も目にしますが、個人的には、この曲は頭かラストのどちらかに配置するしかない曲だと思ってます。というわけで、ライブ本編の最後にこの曲が来たのは我が意を得たり、といった印象。
ここまで完全ノンストップ、MC一切なし。ここで小山田氏が「どうもありがとう」と述べ、メンバー一同ステージから退場。
[Encore]Chapter 8 ~ Seashore and Horizon
アンコールに応え、「もう1曲だけ」と言って演奏したのはこちらの『Fantasma』収録曲。
CORNELIUS - "Seashore And Horizon" 8/4/16
本編で終始同じギター(たぶん)を弾いていた小山田氏ですが、アンコールはアコースティックギターを提げて登場。
USツアーのドキュメンタリーでも特に印象的な曲だったので、生で聴けたのはとても嬉しい*5。
最後に、メンバー4人でステージの最前方へでてきて揃ってお辞儀。
余談。終演後、客席の中にカヒミ・カリィさんらしきお方を見かけて思わず凝視してしまったところ、カヒミさん(らしきお方)も「え、なにか?」といったご様子でこちらを見つめ返されてしまったのでびびりました。しかも本当にカヒミさんご本人でした。びっくりしたー。
今年のフジロック、コーネリアスと小沢健二のハシゴできそうでハシゴできない少しハシゴできるラー油タイムテーブルが話題です。僕は既に結論を出していますが*6、その決意が揺らぎそうなくらい良いライブでした、今回。
今後のライブでさらに磨きがかかってくる部分も多いでしょうし、まだ生で披露されていない『Mellow Waves』の曲もたくさんありますし、何より、次のアルバムとライブが何年後になるかわからないので、フェスにしろツアーにしろ、行ける人は絶対に行くべきだと思います。
*1:厳密には昨年にUSツアー前のゲネプロや、今年6月27日にはシークレットライブも実施
*2:現在出演が予定されているのは、FUJI ROCK FESTIVAL '17、RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO、SWEET LOVE SHOWER 2017の3つ
*3:最初は60分バージョンがOAされ、後に完全版が限定上映ののちOA
*4:Yellow Magic Orchestra、Yoko Ono Plastic Ono Band、METAFIVE、etc
*5:個人的には「Brand New Season」も(観客をステージに上げてテルミン演奏をする演出も込みで)聴きたかったところですが……
*6:詳しくは本ブログで次回公開予定