「シン・ゴジラ音楽集」も最高なので、「シン・ゴジラ」を観た人はみな買うべき

 「シン・ゴジラ」。本当に素晴らしい映画です。
 既に凄い熱量と情報量が込められた力強い感想がたくさんネット上に上がっているので僕の出る幕なんて無いかな……と思いつつも、やっぱり素晴らしい作品のことはやっぱり自分の言葉で全力で褒めちぎりたい。ということで書きます。
 主なテーマは、まだあまり言及されていない(気がする)、本作のサントラ「シン・ゴジラ音楽集」です。

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

(2016.9.28 追記)
 本エントリに辿りついた方の多くが既にご存知かもしれませんが、日経ビジネスオンラインの片山杜秀先生へのインタビュー記事「音楽から“深読み”する「シン・ゴジラ」 そして伊福部音楽が耳に残るワケ」において、光栄にも、拙稿を参考文献としてご紹介いただきました。
 音楽を軸にこんなにも明瞭に「シン・ゴジラ」の構成を解き明かせるなんて、と目から鱗が落ちまくりで、僕にとっては「模範解答」と言いたくなるような素晴らしい内容でした。そして続編の予想も最高です(もし実際にそうなったら賛否両論に分かれるでしょうが……)。
 あわせてぜひお読みください。
business.nikkeibp.co.jp

 

「シン・ゴジラ」の簡単な感想(ネタバレなし)

 その前にまず、「シン・ゴジラ」に対する僕のスタンスと感想を簡単に。
 
 正直なところ、僕は本作にまったく期待していませんでした。
 庵野総監督がいまエヴァを差し置いてでも撮るのだから絶対に観るべきではあるけど、当たりもイマイチもハズレも大ハズレも充分ありうるから、期待値を上げずに観るのが正解だろう、と。それに、当初からキャストの人数の多さが話題になっていましたが、あくまで一番の見どころはゴジラ絡みの特撮パートであって、実写パートはその“つなぎ”に過ぎないだろう、なんてナメていました。
 
 ところが、この予想が、ことごとく裏切られたわけです。
 手短にいえば、最高。大当たり。大傑作。
 最高すぎて、序盤から嬉し涙があふれるほど。
 庵野&樋口タッグならば間違いないだろうと思っていた特撮パートの出来の良さは言うに及ばず、まったく期待していなかった実写パートが文句なしに素晴らしい。
 当然、予算やスケジュールの厳しさも映像の端々から見受けられましたし、そつのない優等生的な作品……ではない、でしょう。ただ、僕はこの作品を大好きだと声高に主張したいし、万人が気に入ることはなくても、それでも、できる限り多くの人に観てほしい。そんな作品です。
 もう既に3回(通常上映で1回、IMAXで2回)観ましたが、鑑賞するたびに発見があって、語りたいところがどんどん増えて、好きになる。
 「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」も、完成台本が丸々付いていると聞いて、迷わず予約してしまいました。楽しみ。

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

(2016.10.26 追記)
延期を重ねて、いよいよ11月3日の発売を目前に控えていたこの本が、また、延期に、なりま、した……。庵野監督のことだからそのぶんクオリティアップに注力しているのでしょうし、いつものことなのでいくらでも待ちますが、↓のようなことになりかねない勢い。


 
 ……と、これくらいのベタ褒めのトーンで書いていきます。
 なお、以下ネタバレ全開なのでどうかご注意ください。
 

「シン・ゴジラ音楽集」のライナーノーツ

 劇場公開よりも一足先に発売されたサウンドトラック「シン・ゴジラ音楽集」。
 既にあちこちのお店で品薄になっているようですが、僕も映画館で本編を観てすぐに注文したにもかかわらず、手元に届くまで一週間弱かかりました。
 これがまた、本編に負けず劣らず素晴らしい。
 伊福部昭による、言わずと知れたゴジラ楽曲の数々。庵野作品ではお馴染みの鷺巣詩郎によるオリジナルスコア。もちろん文句なしです。
 さらに「シン・ゴジラ音楽集」で必見なのが、鷺巣詩郎によるライナーノーツの各曲解説。ヱヴァ新劇場版のサントラ等でもライナーノーツにはいろいろと裏話が書かれていましたが、今回も読み応え充分です。
 

伊福部昭の原曲をステレオ化、しかし……

 特に、伊福部曲の使用に関する、以下のエピソードがめっぽう面白いのです。

「今回、伊福部オリジナルは「音楽的に一言一句たりとも、決して変えない」という大前提でのぞんだ。
 
 だが音響的にそれらオリジナルが、当時主流だった光学録音(フィルム)だろうと、まだ黎明期にあった磁気録音(テープ)だろうと、半世紀以上も前のモノラル音源であることに変わりはない。(以下 中略)なんとかオリジナルを保ったまま、自然なステレオ音像が得られないものか……その一点に執着して、とことん熟考を重ねた。
 結果「上から演奏をなぞり、オリジナル音源に微かに配合する」というアイデアにたどり着いた。つまり周波数帯域別にあまねく楽器を抽出して、あくまでオリジナル・スコア通りに演奏してもらい、それらを左右に広く並べて配置していくという、まさに人海戦術によるステレオ近代化である。
(以下 中略)
 オリジナルはフィルムを観ながら指揮をしているから毎拍BPMが揺れ動いている。たとえば「宇宙大戦争」ならば(1-2小節目は空白で)3小節目の1-2拍目が134,8251BPM、4小節目の1拍目が139,667BPM→2拍目がBPM133,7855BPM(以下 中略)といった具合に、その先もずっと延々と341小節目まで変化しつづけて、決して同じBPMが連続することはない。ほかの曲もすべて同様。まるで深淵たる円周率のように気の遠くなる数字の羅列である。それらをすべて算出してクリックを作成しないことには、演奏も、録音も、編集もままならない。
*1

 ……素人が想像しても気の遠くなる作業です。上で引用した部分の前後や略した部分にも、ステレオ化のプロセスが事細かに書かれています。しかもレコーディングスタジオはアビーロード。
 しかし、僕はここで首をかしげた。「あれ、でも映画本編の伊福部曲は、いかにも昔の音源をそのまま使っているような音質に聞こえたけど……?」
 それもそのはず。読み進めてみると、けっきょく本編では「庵野総監督の判断ですべての伊福部楽曲(tack*202、08、09、19)はオリジナル音源をそのまま使用することになった」*3、つまり大変な手間暇をかけて完成したステレオ音源は全ボツとのこと。はー……。ただし、「全曲集」には今回録音されたステレオ音源のほうが収録されています。ちゃんと日の目は見たわけです。
 
 そこで気になるのが「実際、オリジナル音源とステレオ化音源とで、どのように違って聞こえるのか?」ですが――この「音楽集」は、ちゃんと痒いところに手が届く作りになっています。
 9曲目の「ゴジラ登場/『メカゴジラの逆襲』」(要は、誰もが知っている例のゴジラのテーマ)で、両方の音源を聴き比べられるようになっているのです。

 劇場本編では伊福部オリジナル音源をシンプルに2回くりかえしているが、この『音楽集』ヴァージョンでは、1周目に伊福部オリジナル音源のままリマスタリングしたもの、2周目に補強したものと順番に並べた。その差異を皆様にも経験していただこうというサーヴィスである。
*4

 なんて気が利いているのでしょうか! 最高です。
 で、実際に聴き比べてみると、まったく同じ曲をまったく同じように演奏しているにもかかわらず、録り方・仕上げ方の違いだけで、まったく違う印象になっているのでした。すげえ。これは本当に一聴の価値ありです。
 

どうして庵野総監督はステレオ音源を捨てたのか?

 ただ、わざわざ苦労を重ねてレコーディングした音源を捨ててまで、どうしてオリジナル音源をそのまま使用することにしたのか、その理由は明らかになっていません*5
 個人的な推察ですが、これは「現実」に対する「虚構」らしさを際立たせるためではないか、と思います。キャッチコピー「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」が象徴するように、本作は「『現実』の日本に『虚構』たるゴジラが現れたらどうなるか?」の観点から、リアリティ描写に重きを置いた内容です。劇場パンフレットにはリアリティを追求するための取材過程が記されていますし、出来上がった作品を観ても*6、現実的な描写に腐心しているのは明らかです。
 その中で流れる、伊福部昭のオリジナル音源は、おそろしく「浮いて」います。
 最新の技術で撮影・録音・編集された作品の中に、約40~60年前に録音されたままの音源が流れているのだから、当然です。現代劇にまったく別の時代のキャラクターが紛れ込んだような、「異物」感。言い換えれば、「虚構」感。
 誰もが耳にしたことのある伊福部昭のゴジラ楽曲。しかし、リアリティを追求した2016年の現代劇に、この音源が流れると、それは「虚構」――非日常の象徴のように、違和感をもって聞こえてくる。
 これこそが、庵野総監督のねらいだったのでは? と思うのです。
 

ネルフのテーマが、巨災対のテーマに

 「シン・ゴジラ」の観客の大半が驚いたであろう、「あの曲」にも触れずにはいられません。
 そう。「エヴァ」シリーズを通して印象的に用いられてきたBGMが、本作ではアレンジも新たに奏でられているのです。
 原曲のタイトルは「DECISIVE BATTLE」。特務機関ネルフのテーマ曲的な位置付けで、イントロのティンパニーによるリズムは一度聴いたら忘れられません。そういえば、「踊る大捜査線」でも引用されていましたね。ということは元々、現代劇との相性が良い曲なのかもしれません。
 「エヴァの曲をここで転用!?」と驚く向きもありますが、庵野作品では、「ヱヴァ:破」で「彼氏彼女の事情」のBGMを、「ヱヴァ:Q」で「不思議の海のナディア」のBGMが使われていたことがあるので、まあ、いつものことともいえます。
 本作では、矢口率いる巨災対のテーマ曲といった位置付けで、何度も何度も流れます。鑑賞中も「あ、またこの曲だ!」と思っていましたが、数えてみたらなんと、計8種類もバリエーションが存在しておりました。なお、「音楽集」に収められている鷺巣曲は全部で18トラック(ボーナストラックは除く)。18分の8。約44%ですよ。
 いずれのアレンジも、イントロの「ドン、ドン、ドン、ドン、ドンドン」だけを原曲から抽出し、そこに新たな解釈を加えたものとなっています。1995年のテレビアニメのために書かれた原曲を、2016年の大作実写映画向けに大幅にブラッシュアップした印象ですね。どれもこれも、個人的にはすごく好きなアレンジです。
 

伊福部昭と鷺巣詩郎の遠からぬ縁

 もうひとつ、「シン・ゴジラ音楽集」のライナーノーツで見逃せないのが、末尾に書かれた、伊福部昭と鷺巣詩郎の遠からぬ縁を示すエピソードです。

 ふたたび巨人「伊福部昭」と長く向かい合えたのは音楽家冥利につきる。日本語で音楽を学ぶには伊福部昭を避けては通れない。ふたたびと書いたのは、過去にその著作楽理書をくり返し読んだからだ。
*7

 このように、伊福部昭からの直接的な影響が明言されています。
 そして、伊福部昭と鷺巣詩郎を結びつける間接的な縁が、もうひとつ。
 
 鷺巣詩郎の父親は、ピー・プロダクションの特撮作品「マグマ大使」等で知られる、うしおそうじ。特撮の他にも漫画家やアニメーターとして名を馳せたビッグネームですが、元を辿れば、戦時中に東宝で円谷英二の部下(=直弟子)だった人です。
 師弟ともに仕事をした時期は短くても、互いの交流は長きにわたって続いたらしく、「父に連れられて祖師谷の円谷スタジオに行ったし、成城の東宝スタジオにはもっとよく行った。逆に、円谷も、谷口千吉も、軍隊時代からの盟友三船敏郎も、父をたずねて来た。」(鷺巣詩郎「シン・ゴジラ音楽集」各曲解説より引用)と、鷺巣詩郎の子ども時代の思い出には錚々たる顔ぶれが並んでいます。
 父とはまったく違った仕事を選びながらも、巡り巡って、父の師・円谷英二の代表作「ゴジラ」にかかわる。しかも、自身が音楽家の道を歩む上で大きな影響を与えた、伊福部昭によるオリジナルスコアとの競演。
 この不思議な縁に思いを馳せる文章で、このライナーノーツの「各曲解説」は締めくくられています。なんて面白いんでしょうか。
 
 ここまでで引用した以外の部分にも、作編曲・レコーディングに関するエピソードがたくさん書かれています。
 ぜひとも「シン・ゴジラ音楽集」を実際に手にとり、ライナーノーツを熟読しながら、じっくり腰を据えて聴いていただきたい。
 仕事用のBGMにもオススメです。巨災対のメンバーばりに仕事がてきぱき進められる(気がする)よ!
 

(おまけ)「ゴジラ全曲集」収録曲をうっすらと解説

 最後に、「全曲集」に収録されているいくつかの楽曲について、本編のストーリーの流れに沿って、簡単にコメントしてゆきます。
 そもそもライナーノーツの後半に、オフィシャルな「収録曲解説」(文:早川優)が載っているので、必要充分な情報はそちらで得られます。なので、ここでは重箱の隅をつつくような感じで、僕個人が気づいたところをいくつか。楽曲に対するコメントと、その曲が流れるシーンに対するコメントがごちゃごちゃと混ざっています。
 

オープニング~最初のBGMが流れるまで

 さて。そもそも本作の序盤、オープニングの東京湾沖の水蒸気爆発から総理大臣の会見までは、一切のBGMが流れません。
 スピーディーなカット割りと無数のテロップ。観客が消化どころか咀嚼すらできないほどの情報量で畳みかけてきます。そこに劇伴の入り込む余地はありません。
 そんな中、初めて劇伴がかかるのは、ゴジラ(作中ではまだ「未確認巨大生物」)が初上陸する場面です。
 

1.Persecution of the masses(1172)/上陸

 総理大臣の会見中、「え、蒲田に?」のセリフで切り替わるカット。逃げまどう人々の後ろにいるのは、我々観客が知っているゴジラの姿とはまるで異なる生き物です。ギョロリとした目で茶色の短い体毛の隙間から真っ赤な体液を流しつつ、這いつくばりながら街を蹂躙してゆく、得体の知れない巨大生物。
 ここで流れる、本編最初の楽曲は、ストリングスとコーラスが合わさった、いかにも庵野作品(というかエヴァ)らしい楽曲です。「え、ゴジラじゃない? なにこいつ!?」と観客を混乱と恐怖に突き落とすシークエンス。
 

2.ゴジラ上陸「ゴジラ」/進化

 そして、ゴジラが第2形態から二本足の第3形態へと変化する場面にて、いよいよ伊福部昭による初代「ゴジラ」の楽曲「ゴジラ上陸」が流れます。62年前の音源ですよ。前後に流れる鷺巣曲とのギャップが、やはり「異物感」を際立たせているように感じますね。
 

3.11174_rhythm+melody_demo/対峙

 自衛隊の初出撃。
 ここまで周りに流されまくりで頼りない印象の総理大臣(自衛隊出撃直前の、閣僚たちの顔のアップで「総理、ご決断を」と迫られまくるシーンがまた良い)ですが、ここで初めて、リーダーらしい強い決断をするんですよね。防衛大臣から強い語気で攻撃指示を促されながらも、「自衛隊の弾を国民に向けるわけにはいかない」*8と拒否する。ここでこの判断をしているか否かで、観客の、総理大臣に対する印象がまったく異なると思うのです。後にヘリコプターが爆破した瞬間のショックの度合いもまるで変わってくるわけで。
 

4.Early morning from Tokyo(short)/報道1

 いかにも庵野作品らしい、つかの間の日常を象徴するようなシーンとBGMです。比較的最近(といっても7年前)の例だと、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」でも似たようなシーンがありましたね。
 ちなみに、「ヱヴァ:破」のあのシーンのBGM「YAMASHITA」は、元々「太陽を盗んだ男」の楽曲でした(作曲は井上堯之)。「太陽を盗んだ男」の最終決戦の舞台となっているのは、科学技術館の屋上。そう。「シン・ゴジラ」の最終決戦時に矢口たちがゴジラを監視している、あの科学技術館の屋上です。
 今作のロケ地に科学技術館が選ばれた経緯は、↓のインタビューにて庵野総監督・樋口監督の両名が語っています(庵野総監督がインタビューを受けているのが超貴重)。地理的条件もさることながら、「太陽を盗んだ男」の影響も少なからずあったようですね。
www.jsf.or.jp
 もうひとつおまけに余談。「太陽を盗んだ男」の長谷川和彦監督の愛称は「ゴジ」でしたね(由来はもちろんゴジラ)。
 

8.ゴジラ復活す「キングコング対ゴジラ」/再上陸

 ゴジラの鎌倉上陸。シリーズ作のアイコン化したテーマ曲って、それがよく知られていればいるほど、「面白い」ものになってしまうと思うんです。ジョーズしかり、ロッキーしかり、ターミネーターしかり。
 これらと同じくらい、ゴジラのテーマ曲もアイコン化していると思うんですが、この鎌倉上陸シーンで「面白い」と感じる人はほとんどいないと思うんですね。むしろ「恐怖」が圧倒的多数を占めるはず。誰しもの耳に馴染んだ楽曲を、「恐怖」の象徴に再定義している。すごいです。
 

9.ゴジラ登場「メカゴジラの逆襲」/脅威

 誰もが知っている、ゴジラのあのテーマ。そのメインフレーズ。ゴジラの鎌倉上陸シーンにて、先の「ゴジラ復活す」からシームレスに、矢口の「ゴジラ、第四形態」のセリフとともにあのテーマが流れます。
 先に書いたとおり、「音楽集」収録の音源はオリジナル音源と「補強」版の2本立てになっているので、聴き比べるのが楽しいです。
 

12.Defeat is no option(1197)/進攻

 米軍の攻撃を受けて、とうとうゴジラが反撃。
 2014年のギャレス・エドワーズ監督作「ゴジラ」を観たときは、ゴジラが放射線火炎を吐いた瞬間に「待ってました!」と拍手喝采せんばかりにテンションが上がった覚えがあります。ところが。本作では、もう「やめてくれ!」としか思えない。
 

13.Who will know(24_bigshow)/悲劇

 ゴジラによって火の海となった東京。総理大臣をはじめ、あのヘリに乗っていた内閣閣僚の多くが……。このシーンは何度も観れば観るほど、閣僚たちのキャラクターに愛着が沸いてきて、どんどん辛くなります。
 

15.EM20_Godzilla/再始動
16.EM20_CH_alterna_01/巨災対
17.EM20_CH_alterna_03/報告
18.EM20_CH_alterna_04/共闘

 巨災対のテーマが、異なるアレンジで次々と流れます。特に16,17,18とエフェクトの効いた攻撃的なギターリフが印象的なアレンジです。曲名に「CH」と付いたこれらの編曲を手がけたのは、ジャニーズ関連の編曲などで活躍しているCHOKKAKU。
 

19.宇宙大戦争「宇宙大戦争」/ヤシオリ作戦

 最高! 新幹線が突っ込むシーンとともにこのBGMが流れたら、そりゃあテンションが上がりまくる一方です。
 科学技術館の屋上に並んだ矢口たちのバックに、ゴジラの放射線火炎が無数に飛んでいるカットを観ると、なぜか「ああ、いま俺は特撮を観ている!」と無性に嬉しくなってしまうのは、僕だけでしょうか。
 ちなみに、この曲は、庵野総監督の大学時代の自主製作アニメ「じょうぶなタイヤ」のBGMにも使われています(ただしアレンジは異なる)。だから庵野作品で使われるのは実は2度目。

Hideaki Anno Short Film 庵野秀明 自主制作アニメ2 じょうぶなタイヤ!
 
 ただ、伊福部曲の中でもこの曲だけは、今回再録した音源を使用(もしくは、いっそのこと現代的に大幅にアレンジ)しても良かったのでは……と思います。
 というのも、先に述べたように、これまでのシーンで用いられてきた伊福部曲はゴジラの「異物感」を強調するためのものでした。しかし、この「宇宙大戦争」だけは、人類側のテーマ曲として流れるわけです。であれば、エヴァの「DECISIVE BATTLE」を本作向けにアレンジした一連の巨災対のテーマのように、この曲も大胆にアレンジしてもよかったのではないかと。

おわりに

 「シン・ゴジラ」を観たときの感動をどうにか文章に残そう、と思っていたら、こんなにとっちらかった長文になってしまいました。
 他にも書きたいこと、語りたいことはたくさんあるんですが、きりがないので今回はここまで。

*1:鷺巣詩郎「シン・ゴジラ音楽集」各曲解説より引用・太字は引用者による

*2:trackの誤りと思われるが原文ママ

*3:鷺巣詩郎「シン・ゴジラ音楽集」各曲解説より引用・太字は引用者による

*4:鷺巣詩郎「シン・ゴジラ音楽集」各曲解説より引用

*5:もし、インタビュー等で意図が語れているものがあればお教えください

*6:石原さとみ演じるカヨコは例外として

*7:鷺巣詩郎「シン・ゴジラ音楽集」各曲解説より引用

*8:※細かい言い回しはうろ覚え