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小沢健二新曲「流動体について」について #ozkn

#ozkn

はじめに~この記事について

 この記事では、小沢健二の新曲「流動体について c/w 神秘的」の紹介と、メディア出演などについて書いています。
 最初にアップしたのは2月20日(月)のことですが、それから、少しずつ加筆修正しています。既に読んだという人も、ちょっと間を開けてアクセスし直してみると、見慣れない話題がでてきておもしろいかもしれません。
 更新したときはTwitterで告知しますので、よければそちらもどうぞ。
※2/23 20:00追記:NHK FM「きらクラ!」出演情報を追加。ほか一部追記。
http://sp.universal-music.co.jp/ozawa-kenji/img/ryudoutai_jacket.jpg

(ライブの記憶をもとに)「流動体について」について

 2月20日(月)、小沢健二の19年ぶりのシングル*1「流動体について c/w 神秘的」のリリースが、音楽ナタリーの企画「小沢健二AMA 私の並行世界」にて、小沢健二本人から明かされました。
 発売日は2月22日(水)。いわゆる店着日は明日2月21日。
 

小沢健二 - 流動体について c/w 神秘的 ティーザー広告
Kenji Ozawa 小沢健二 Official Site ひふみよ
 
 この曲が一人でも多くの人に届いてほしいと、切に願うばかりです。

 この文章を読む人の大多数は、既にファンで、「魔法的」にも行き、「小沢健二AMA」もピッタリ張りついて読んでて、今回のシングルも迷わず買って聴く、といった強者揃いだろうと思います。
 だけど、もし何かの拍子にこのページへ辿りついたあなたが、ファンではなかったり、「魔法的」に行っていなかったり、今回のシングルを買おうかどうか迷っている、そんな方だったら。そういう方にも、この文章を読んでいただけたら嬉しいし、何より、「流動体について」を一度でいいから聴いていただきたい。
 あとで詳しく書きますが、「流動体について」は、小沢健二の曲をこれまで聴いたことのない人が聴いても一発で圧倒される、それだけの力をもった曲だと思っています。
 
 そんなわけで、まずは昨年の「魔法的」ツアーで聴いたときの記憶をもとに曲紹介をしたいと思います。
 
 さて。今回のシングルに収録される「流動体について」と「神秘的」はいずれも、ライブで既にお披露目されている曲です。
 発表は「神秘的」のほうが先で、2012年の「東京の街が奏でる」や2016年の「魔法的」ツアーの番外編「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」等*2で演奏されました。
 一方、表題曲「流動体について」は、昨年の「魔法的」ツアーで初披露。
 「魔法的」は発表の段階で「新しい曲をたくさん、やります。」と明言されていたライブツアーで、実際、ファンから「早く音源をリリースしてほしい」の大合唱になるほど素晴らしい曲揃いでした。ライブ音源(または映像)や、全曲録り下ろしのアルバムを期待&予想していた人が大多数だったと思いますが……まさかのシングルとなりました。
 ただ、たしかに「流動体」は新曲のなかでもっともシングル向きの曲だと思います*3
 
 では、「流動体について」はどんな曲なのか。僕の書いた「魔法的」のライブレポートから引用します。

10. 流動体について(新曲)
 すごく、すっごく格好良い曲です。疾走感。歌詞がまた良かった……。この曲と次の「超越者たち」は本当に格好良くて、一目ぼれならぬ一耳ぼれ(?)をしました。「○○の中で○○○○を○○○○くらい」「○○○い○○○○の○が○○○○○かける」の言葉にシビれる。
 美術館セットの題名「言葉は都市を変えてゆく」も、この曲の歌詞からきているんですね。
 後半、歌に合わせて歌詞が映し出されていたので、できるだけ(声に出さず口パクで)合唱しながら、ぜひ。
 
 しかし、直前の曲で「誰かにとって特別だった君をマーク外す飛び込みで僕はサッと奪い去る」と歌った直後に「○○○○○も○○○○○に?」(※うろ覚え)ってフレーズを持ってくるのは、ゾクッとしますね。
小沢健二「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」ライブレポート #ozkn - 小さなドーナツを描いていた
(※引用注:歌詞は伏字にしました)

13. 流動体について
 新曲の中でも特にかっこいい「流動体について」。アコースティックでもそのかっこよさは健在。むしろ直接的に突き刺さってきます。最高です。
 美術館セットのタイトル「言葉は都市を変えてゆく」は、この曲の歌詞から来ています。ラストを飾るにはこの上ない。
「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」金沢21世紀美術館2016.6.21ライブレポート #ozkn - 小さなドーナツを描いていた

 いずれもライブを観たその夜のうちに書いた文章なので、我ながらなかなかのテンションの高さですね。
 上に書いたとおり、疾走感あふれる、猛烈に格好良い曲です。変な喩えかもしれないけど、知らない人が聴いたらイキのいい若手のバンドの新曲と勘違いしそうなほど。
 
 アレンジにも注目です。「魔法的」はタイトルに「Gターr ベasス Dラms キーeyズ」とあるように、比較的少人数のバンド編成によるツアーでした。バンドサウンドとして非の打ち所のない、最高に熱い編曲でしたが、これがスタジオレコーディングでどうなるのか。
 「ストリングスが入る」との話なので、けっこうガラッと変わるのかな? 個人的には、ライブのアレンジそのままでレコーディングされていてもまったく文句なしなくらいなんですが、どうなんでしょうか。
 
 そして歌詞。小沢健二の歌詞が凄い、というのはもうさんざん語られていることですが、この曲もやはり凄い。
 ただ、歌詞についてあれこれ書くのも野暮ったい気もしますし、まだ聴いたことのない人が多い段階で「この曲はこういうテーマで唄っていて~」と喧伝しても、変なバイアスをかけてしまいそうです。
 なので、とにかく聴いてください。ひふみよに歌詞がフルで載ってますが、まあまずは聴いてみましょうよ。
 曲の良さでスッと耳に入ってきて、聴いているうちに自然と歌詞の意味も染み込んでくる――というのが(僕の中での)良質な楽曲の定義だったりするのですが、まさにそういう曲です。
 ただひとつアドバイスするなら、CDを買ったその足で(もしくはMステを観るその前に)、ぜひカルピスをお買い求めください。飲みながら聴きましょう。

カルピス <希釈用> Lパック 1.0L

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(ライブの記憶をもとに)「神秘的」について

 一方、カップリングの「神秘的」は、エモーショナルな「流動体」とは対照的に、静かな部屋で落ち着いて聴きたくなる曲です。
 2012年の「東京の街が奏でる」での初披露の際はどういった編成だったか、正直記憶があいまいですが……昨年の「美術館セット」ではギター1本での弾き語りでした。
 昨年2016年6月16日に金沢21世紀美術館で聴いたとき、拙稿ではこう書いています。

3. 神秘的
 「東京の街が奏でる」(と岡崎京子展)でしか演奏されていない曲なので、今回初めて聴いた人もいるかもしれません。僕も4年ぶりに聴いたので「知らない曲!?」と一瞬戸惑いました。「東京の街が奏でる」のときもアコースティックギターの弾き語り(ストリングスの伴奏とかはあったかも?)だった覚えがあります。
「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」金沢21世紀美術館2016.6.21ライブレポート #ozkn - 小さなドーナツを描いていた

 弾き語り向きの曲ですね。「夜と日時計」や「いちょう並木のセレナーデ」などの系統というか。
 2015年5月14日、「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」(世田谷文学館)の最終日におこなわれたライブでも演奏されていますが、世田谷文学館のサイトに掲載されているレポート(書かれたのは世田谷文学館の職員の方?)では、以下のように表現されています。

そして3年前に発表された新しい曲「神秘的」。日常的な風景が崇高な世界観へと繋がってゆく、小沢さんならではの美しい曲でした。
これまでの活動報告 - 世田谷文学館

 
 「流動体」で熱くなった心と身体を、「神秘的」でゆっくり落ち着けて――けれど歌詞によくよく耳を傾けてみるとハッとさせられる――今回のシングルは、そんな聴きかたになりそうです。
 
 興奮を落ち着けようと書き始めてみたものの、書けば書くほど、早く聴きたくなってたまりませんね。発売はもう間もなく。発売日当日はもちろん仕事ですが、(仕事関係者の)マーク外す飛び込みでサッと入手して、一刻も早く聴きたいと思います。
 あと個人的には、「流動体」をカラオケで唄えるのがとても嬉しいです。「シッカショ節」*4が入っているくらいなので、今回も間違いなくカラオケ入りするでしょう。……入りますよね?(ちょっと不安)
 
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(CDを聴いたうえで)「流動体について c/w 神秘的」について

(ここから先は、ぜひ実際に聴いてからお読みください)
 聴きました。
 最高です。思った通りに、いや、思いもよらないほど。
 
 鋭角のバンドサウンドだったライブ版から、ストリングスやコーラスによって軽やかに空を舞うようなアレンジにガラッと変わっていたので、正直、最初は戸惑いもありました。でも、聴いているうちにすぐ耳が馴染みました。たぶん、ライブで聴いていない人はもっとすんなり聴けるんじゃないでしょうか。
 
 なんといっても、服部隆之さんによるストリングスアレンジは圧巻ですね。「LIFE」期さながら。もし今後さらに新曲がレコーディングされるのなら、このストリングスにスカパラホーンズが絡んだりもするのかな……なんて、ついつい夢想してしまいます。
 具体的には「ぼくらが旅に出る理由」のストリングスに近いかな、と思いつつ「小沢健二AMA」のログを読み返していたら、ご本人のこんな発言を見つけました。

金曜日にミュージックステーションで2曲やります

流動体と、もう一曲は

流動体のストリングスは、前の曲をモチーフにしていて
小沢健二AMA 私の並行世界 - 音楽ナタリー Power Push

 Mステでやるもう1曲は、「ぼくらが旅に出る理由」。つまり、ここでモチーフにした「前の曲」とは「ぼくらが旅に出る理由」なのでしょう。ますますMステが楽しみになってきました。
 
 そしてコーラスワークも美しい。おなじみの(だけど魔法的に不参加で寂しかった)真城めぐみ、「東京の街が奏でる」でゲスト出演した永積タカシ(ハナレグミ)、そして意外なところで一十三十一*5。一十三十一は2016年1月20日の「魔法的」ツアー発表の場にもいらしたようです。


 
 あと、ストリングス以外の楽器編成や、サウンドのミックスもちょっと珍しいテイストですよね? ボリュームを上げまくっても耳に突き刺さる感じがなくてむしろ心地よい感じがするし、スピーカーでもイヤホンでもボーカルが間近に感じられるし。
 インスト版で聴くとまた、演奏に聴きどころがいっぱいあって。何度聴いても全然飽きません。
 
 そもそも、曲の構成自体も変わってますよね。とくに曲後半のサビの畳みかけっぷり。この、わけのわからない高揚感でどこまでも飛んでいくような感覚こそ、小沢健二の曲の大きな醍醐味だと思います。
 
 楽器編成以外で、ライブ版(記憶に頼っているので曖昧な部分もありますが)と明らかに違うのは、イントロの長さですね。かなり短くなってます。
 「魔法的」は新曲の披露時に歌詞をスクリーンに映していたのですが、「流動体」のときは16小節くらいのイントロで一通りの歌詞をパッパッと(読みきらないうちにどんどんページが進んでしまうくらいのスピードで)映してから、「羽田沖~♪」と歌い出していました。そして、歌い出してからはずっとスクリーンは真っ暗……と思いきや、2度目のサビの「もしも間違いに気がつくことがなかったのなら?」のところで再度歌詞が登場! という演出だったと記憶しています。
 
 一方「神秘的」は、「流動体」で高揚しきった心をやさしく落ち着かせてくれますね。
 何度も聴いていくうちにじっくり染み込んでくる曲だと思うので、まだ語れるほどの感想をもっていませんが……ゴスペル的なコーラスや、歌詞で「イスラム教の詩」と「キリスト教の詩」と「台所の歌」を対比しているあたりが、たまらなく好きです。いろいろな文化・国籍を匂わせつつも、一色に染まりきっていないというか。
 
 ……とりあえず聴いたばかりの印象を思いつくままに書いてみたので、どうにもごちゃっとしてしまいますね。また何か気づいたら書き足すかもしれません。まあ、一言でいうなら、「最高」です。要は。
 
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朝日新聞の全面広告「言葉は都市を変えてゆく」について

(2/21 10:30追記)
 2/21の朝日新聞の朝刊に、全面広告「言葉は都市を変えてゆく」が掲載されました。
 
 これまた素晴らしい内容です。新譜の広告でありながら、これ自体が小沢健二の新作です。
 できるだけ、実物を読んでいただきたい。買い逃した人も、近々ひふみよにPDFが掲載されるようなので、変な方法で入手しようとせず、焦らず慌てず待ちましょう。
 
 今の小沢健二ならではの、ファンにはとてもしっくりくる内容です。
 ただ、それが世間の日常の象徴であるところの新聞朝刊にまぎれこんでいるのがとても不思議で、なんだか妙な非日常感があっておもしろい。

 それでいて、新聞を日常的に読む人たちにとって最もしっくりくるレイアウトで読み応えのある文章を載せるのは素晴らしいアイデアだと思います。
 現在のネットに軸足を置いた情報発信からは一番遠いところにいる人たちのところへ届く、理想的な広告の形でしょう。
 朝刊を読むのを日課にしている御隠居が「この小沢健二という若者は面白いな!」と思ってCD屋へ足を運んだりするかもしれないな、なんて想像すると楽しくなってきます。
ただ、御隠居の活動圏内にまだCD屋が残っているかが問題ですが……。
 
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メディア出演について

 「流動体について」リリースにあわせて、テレビ出演も多く予定されています。
 これはユニバーサルミュージックの特設サイトの情報が詳しいですね。

・2/24(金)テレビ朝日「ミュージックステーション」
 「流動体について」、「ぼくらが旅に出る理由」を披露
・2/24(金)日本テレビ「NEWS ZERO」
 ロングインタビュー(報道番組の為急遽放送日が変更になることがあります)
・3/1(水)日本テレビ「スッキリ!!」
 生出演・生歌披露決定(一部地域を除く)(緊急のニュースが入った場合変更する可能性ございます)

テレビ出演は「笑っていいとも!」以来約3年ぶり。
4月にはフジテレビ「Love music」出演と精力的に稼働をしてゆきます。
テレビ出演情報|news |小沢健二「流動体について」特設サイト

 また、ここには載っていませんが、

にも出演されます。

2/24(金)テレビ朝日「ミュージックステーション」

 一発目はMステ。タモリさん。Mステでは通常、ボーカルだけが生で、演奏は音源をそのまま流す(要はカラオケ)形式ですが、今回はどうなるんでしょう。
 「魔法的」で初参加したキーボーディスト・森俊之がMステでもバンドメンバーに入ると表明されています。ただ、「ぼくらが旅に出る理由」は「魔法的」でやっていないんですよね。もしかして新アレンジ?



 この発言によれば、Mステ出演時のメンバーは基本的に「魔法的」組のようです。

2/24(金)日本テレビ「NEWS ZERO」

 「NEWS ZERO」のインタビューは既に収録済みのようで、2月22日(水)「流動体について」発売のニュースのなかでインタビューの予告映像がOAされています。マスメディアのインタビューを受けるのも果たして何年ぶりになるのやら……。

2/26(日)NHK FM「きらクラ!」

 ふかわりょうと、(「東京の街が奏でる」に参加した)遠藤真理がパーソナリティーの番組です。

特報!
2月26日(日)放送の「きらクラ!」に、
シンガーソングライターの小沢健二さんが出演します!
1990年代―「フリッパーズ・ギター」解散後、
ヒットを連発した希代の“カリスマ”が「きらクラ!」で何を語るのか!?

オザケン×ふかわりょう×遠藤真理=???
【神回】の予感…お聴き逃しなく!!
きらクラ! - NHK

3/1(水)日本テレビ「スッキリ!!」

 そしてスッキリ!!。昨年、METAFIVEがまさかの生出演&生ライブをしたことも記憶に新しいです。2016-2017年にフリッパーズ・ギターが2人とも(別々にだけど)生出演するテレビ番組、これだけですよ。なんなんだ。クールなスッキリ!!でぶっとばせか(うまいこと言えてない)。
 
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 今後、テレビ出演などを踏まえて、いろいろ追記するかもしれません。
 
 店着日の2/21(火)、TwitterでいろいろなCDショップの特設コーナーの写真をたくさん目にしました。
 1日2日で用意できるとは思えないくらい、どれもこれも凝っている。
 ということはみんな、「流動体について」が出ると知りながら、発売日に向けて密かにコツコツと準備してきたんでしょうね。
 そのことに気づいて、かっこいいな、と素直に思いました。
 小沢健二の新作の発売日であると同時に、お店の人たちがコッソリと仕込んできたPOPの発表日でもあったんだな、なんて。

*1:CDは「我ら、時」以来5年ぶり。スタジオ録音作は「毎日の環境学」以来11年ぶり。ボーカル入りのスタジオ録音作は「Eclectic」以来15年ぶり。そして、シングルCDは「春にして君を想う」以来19年ぶり

*2:岡崎京子展のセットリストにも含まれていた模様

*3:いや、「フクロウの声が聞こえる」も捨てがたい……個人的な好みで言うなら「超越者たち」も……

*4:2010年のツアー「ひふみよ」で発表された新曲。現在のところ、ライブ音源しか存在しない

*5:お父様のお店、マジックスパイスも大好きです

【祝・公式アップロード】ラーメンズ初心者にオススメしたい、YouTubeで観られる公式コント動画

ラーメンズがYouTubeにコント全作をアップロード!

 2017年1月1日、年明けとほぼ同時に、ラーメンズ・小林賢太郎さんの公式サイト「小林賢太郎のしごと」に以下のメッセージが掲載されました。

謹賀新年

さてさて、ラーメンズ全17公演のうち、100本のコントが映像ソフト化されているのですが、本日2017年1月1日、全部YouTubeにアップしました。

なお、これによる広告収入は、日本赤十字社を通じ、各地での災害の復興に役立てていただきます。
(略)
(出典:小林賢太郎のしごと「ラーメンズのコントをYouTubeにアップします」

www.youtube.com
 これまでラーメンズのコントはVHSやDVD、BDなどでソフト化されてきたものの、公式のネット配信等は存在せず、YouTube等への違法アップロードが横行していました。
 DVDで全作を揃えている僕のような長年のファンとしては、違法アップロードされているのを目にするたびに「なんだかなあ」とモヤモヤを抱えていたのですが……公式にアップされていれば、もう心配はありません。
 公式だから、ちゃんと公演単位でプレイリストがまとまっているし、画質も良好。この状況なら、わざわざ違法アップロードされているほうを観る人もいないでしょう。
 広告収入の使い道も上のように明言されているので、既にDVDを持っているファンでも、今後はYouTubeで見返すことが多くなると思います。人に薦めるときも、以前はDVDを貸していたけど、今後はYouTubeでのURLを送るだけで良いですね。DVDが廃盤になったわけではないようなので、気に入った作品があればDVDを購入しても良いでしょう。

 そんなわけで公式にアップロードされたのを記念して、ちょっとした説明をしつつ、個人的なオススメ公演・コントを紹介したいと思います。

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世界一ていねいかもしれない「今夜はブギー・バック」の解説【後編】(smooth cover)

#ozkn 音楽

はじめに

 前編では、ブギーバックの原曲に焦点を絞り、その誕生や特徴について書いた。後編では、無数に存在するカバー(アンサー、リミックス、セルフカバーも含む)を紹介・分析し、さらに深く掘ってゆきたい。

 ブギーバックのカバーを語る上でまず触れておきたいのが、小沢健二のサイト「ひふみよ」で2011年9月6日に発表された「矢」という文章だ。ネット上で全文読めるので、部分的な引用はしない。原文を直接ご覧いただきたい。
「矢」(横書版)
 本稿では、この「矢」にて「名を挙げて感謝し出すと何億光年も行きますが」と述べられているほどの数のカバーを、無謀にも網羅し、何億光年も(……まではいかなかったが、結果的には約8万文字になってしまった)の旅に出たいと思う。

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世界一ていねいかもしれない「今夜はブギー・バック」の解説【前編】(nice original)

#ozkn 音楽

はじめに

 BEAMSの創業40周年記念のプロジェクト「TOKYO CULTURE STORY」の第一弾で公開された『TOKYO CULTURE STORY 今夜はブギー・バック(smooth rap)』。すでに多くの人たちが話題にしているように、素人目にもわかるほど大変な手間をかけて撮られたであろう、素晴らしい作品だ。
www.beams.co.jp
www.youtube.com
 
 1976年から2016年までのファッションとカルチャーをなぞった衣装や小道具・セットももちろん凄いが、何より印象的なのが、豪華なミュージシャンたちによって代わる代わる演奏・歌唱される「今夜はブギー・バック」(以下「ブギーバック」)の圧巻ぶり。
 参加ミュージシャンは総勢17組で15ジャンル。それぞれの時代とジャンルを象徴するアレンジでブギーバックを披露している。
 以下、BEAMSのプレスリリースより引用。

1970年代: 南佳孝 [シティ・ポップ] / 戸川純 [ニューウェーヴ]
1980年代: SEIJI(GUITAR WOLF) [ロックンロール] / こだま和文(ex.MUTE BEAT) [ダブ] / 森高千里 [ダンス・ポップ]
1990年代: EYE(BOREDOMS) [オルタナティブ・ロック] / 野宮真貴 [渋谷系] / サイプレス上野・高木完 [ヒップホップ]
2000年代: HUSKING BEE [メロコア] / ナカコー&フルカワミキ (LAMA/ex.SUPERCAR) [テクノ/エレクトロニカ] / クラムボン [ポストロック] / sasakure.UK feat. 初音ミク [ボーカロイド]
2010年代: チームしゃちほこ [アイドル] / tofubeats・仮谷せいら [クラウド・ラップ] / YONCE (Suchmos) [アシッド・ジャズ/ロック]

 
 1994年3月9日のリリースから、12年余り。今回の例に限らず、ブギーバックは無数のミュージシャンたちにカバーされてきた。原曲ではなくカバーから先に触れた人も多いだろう。
 日本のポップ・ミュージック全体でみれば、もっと数多くのミュージシャンにカバーされた楽曲はいくらでもあるだろうが、少なくとも日本語ラップのなかではダントツのカバー数のはずだ。
 ただし、(本人たちの最大級のヒット曲であるとはいえ)当時のCD市場の規模を考えれば、日本中の人が耳にしたほどの「大ヒット」ではない。その証拠に、1994年の年間チャートを見てみると、
トップ10はおろか、50位以内にもランクインしていない(2種類のバージョンで別々に順位付けされていることもあるだろうが)。BEAMSのプレスリリースによれば「五十万枚を超えるヒット」だったそうだが、それでもやはり当時においては、けっして「大ヒット」ではなかったのだ。
 ――にもかかわらず、どうしてブギーバックは、これほど多くのミュージシャンを惹きつけ、そして今もなお歌い継がれているのだろう?
 
 この疑問に対する明確な回答はできない。強いて言うなら、「才能あふれるミュージシャンが、もっとも勢いのある時期に、最高のタイミングで世に出した曲だから」といった凡庸な言葉でしか表しようがないと思う。
 ただ、さまざまな周辺の状況を整理して、世界一ていねいかもしれない(「詳しい」と自称するのは憚られるため、あくまで「ていねい」)レベルで、この曲について可能な限り事細かに解説していきたいと思う。
 なお、ひと通り書いてみたらとんでもない分量になってしまったので、前半は「nice original」と題して、原曲に話題を絞って書いてゆきたい。

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5000円で味わえる、最高の一夜。「スパイスカフェ」初体験記

 押上の「スパイスカフェ」へ、初めて行ってきました。
f:id:kagariharuki:20161008202747j:plain
spicecafe.jp
 
 カレー好きの間では以前から大変な評判だった「スパイスカフェ」ですが、予約がほぼ必須と聞いていただけに、なかなか足を向ける機会がなかったのです。
 そんな折、ちょうど押上方面へ行かざるを得ない極めて重要な用件が発生。調べてみたら、ちょうどスパイスカフェも数ヶ月にわたる休業を経て、10月から新装開店する! とのことで、すかさず予約をとって向かいました。
 
 で。行ってみたら、これがもう、大変に素晴らしい体験でした。
(10月のコースメニューを事細かに紹介しているので、10月中に訪問予定の方はネタバレにご注意ください)

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「シン・ゴジラ音楽集」も最高なので、「シン・ゴジラ」を観た人はみな買うべき

映画 音楽

 「シン・ゴジラ」。本当に素晴らしい映画です。
 既に凄い熱量と情報量が込められた力強い感想がたくさんネット上に上がっているので僕の出る幕なんて無いかな……と思いつつも、やっぱり素晴らしい作品のことはやっぱり自分の言葉で全力で褒めちぎりたい。ということで書きます。
 主なテーマは、まだあまり言及されていない(気がする)、本作のサントラ「シン・ゴジラ音楽集」です。

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

(2016.9.28 追記)
 本エントリに辿りついた方の多くが既にご存知かもしれませんが、日経ビジネスオンラインの片山杜秀先生へのインタビュー記事「音楽から“深読み”する「シン・ゴジラ」 そして伊福部音楽が耳に残るワケ」において、光栄にも、拙稿を参考文献としてご紹介いただきました。
 音楽を軸にこんなにも明瞭に「シン・ゴジラ」の構成を解き明かせるなんて、と目から鱗が落ちまくりで、僕にとっては「模範解答」と言いたくなるような素晴らしい内容でした。そして続編の予想も最高です(もし実際にそうなったら賛否両論に分かれるでしょうが……)。
 あわせてぜひお読みください。
business.nikkeibp.co.jp

 

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「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」金沢21世紀美術館2016.6.21ライブレポート #ozkn

レポート 音楽 #ozkn

f:id:kagariharuki:20160621203726j:plain

はじめに

 いよいよ大詰めを迎えている小沢健二さんのツアー「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」。
 その番外編的なアコースティックギター弾き語りソロライブ「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」が、金沢21世紀美術館と大分県立美術館の2ヶ所で行われています。
 今回のツアーで初お披露目となる新曲を含めたセットリストで、今回バンド編成のほうではやっていないモノローグの朗読もあり。小沢さんが昨年の「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」で弾き語りライブをしたときと同じような構成です。
 
 本エントリは、このうち、2016年6月21日(火)金沢21世紀美術館(以下、21美)でのライブレポートになります。
 (2016.6.27追記)自分は大分に行けなかったのですが、大分へ行かれた方のお話を元に、ほんの少しだけ追記しました。
 
 事前(前日の夜遅く?)に「モノローグ中のSNS文字発信のみ可」とのアナウンスがあったので、今回も例によってTwitterで実況をがんばりました。


 というわけで、前回のクアトロや前々回のクアトロのように、今回もTwitterで実況したときの記録を下地に*1、実況が追いつかなかった箇所の補足をしながら時系列順に振り返っていきます。
 
 なお、(バンド編成のほうのライブとはセットリストが大きく異なるものの)新曲のタイトルや曲のアレンジの比較など、これから福岡で観る予定の方にとってもネタバレになる要素が含まれているので、どうかご注意ください。
 
(関連記事)

  • 前回のクアトロ実況

  • 前々回のクアトロ実況

  • 今回のバンド編成のほうのライブレポート

*1:と言いつつもほとんど原型を留めていませんが

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